マタイによる福音書
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第1章
1 ダビデの子、アブラハムの子、イエシュア・メシアの系図の書。
2 アブラハムはイサクをもうけ、イサクはヤコブをもうけ、ヤコブはユダとその兄弟たちをもうけた。
3 ユダはタマルによってペレツとゼラをもうけ、ペレツはヘツロンをもうけ、ヘツロンはラムをもうけた。
4 ラムはアミナダブをもうけ、アミナダブはナフションをもうけ、ナフションはサルモンをもうけた。
5 サルモンはラハブによってボアズをもうけ、ボアズはルツによってオベドをもうけ、オベドはエッサイをもうけた。
6 エッサイはダビデ王をもうけ、ダビデ王は、ウリヤの妻であった女によってソロモンをもうけた。
7 ソロモンはレハブアムをもうけ、レハブアムはアビヤをもうけ、アビヤはアサをもうけた。
8 アサはヨシャファトをもうけ、ヨシャファトはヨラムをもうけ、ヨラムはウジヤをもうけた。
9 ウジヤはヨタムをもうけ、ヨタムはアハズをもうけ、アハズはヒゼキヤをもうけた。
10 ヒゼキヤはマナセをもうけ、マナセはアモンをもうけ、アモンはヨシヤをもうけた。
11 ヨシヤは、バビロンへ移される頃、エコニヤとその兄弟たちをもうけた。
12 彼らがバビロンへ連れて行かれた後、エコニヤはシェアルティエルをもうけ、シェアルティエルはゼルバベルをもうけた。
13 ゼルバベルはアビウデをもうけ、アビウデはエリヤキムをもうけ、エリヤキムはアゾルをもうけた。
14 アゾルはツァドクをもうけ、ツァドクはアキムをもうけ、アキムはエリウデをもうけた。
15 エリウデはエレアザルをもうけ、エレアザルはマタンをもうけ、マタンはヤコブをもうけた。
16 ヤコブはマリアの夫ヨセフをもうけた。そのマリアから、メシアと呼ばれるイエシュアが生まれた。
17 それゆえ、アブラハムからダビデまでのすべての世代は十四世代であり、ダビデからバビロンへの移住までは十四世代であり、バビロンへの移住からメシアまでは十四世代である。
18 イエシュア・メシアの誕生は次のようであった。その母マリアがヨセフと婚約していたとき、彼らが共に住む前に、彼女は聖霊によって身ごもっていることが分かった。
19 夫ヨセフは正しい人であり、彼女を公の見せしめにすることを望まず、ひそかに離縁しようと考えた。
20 しかし、彼がこれらのことを思い巡らしていると、見よ、ヤハウェの使いが夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフよ、妻マリアを受け入れることを恐れるな。彼女のうちに宿っているのは、聖霊によるものである。
21 彼女は男の子を産むであろう。その名をイエシュアと呼びなさい。その者は、自分の民をその罪から救うからである。」
22 このすべてのことが起こったのは、預言者を通してヤハウェによって語られたことが成就するためであった。こう言われている。
23 「見よ、処女が身ごもって、男の子を産む。その名はエマヌエルと呼ばれる。」これは解釈すると、イエシュアがわたしたちと共におられる、という意味である。
24 ヨセフは眠りから覚めると、ヤハウェの使いが命じたとおりにし、自分の妻を受け入れた。
25 しかし、彼女が初子を産むまでは、彼女を知ることはなかった。そして彼は、その名をイエシュアと呼んだ。
第2章
1 イエシュアがヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東方から博士たちがエルサレムに来て、
2 言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられるのか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、その方を礼拝するために来たのである。」
3 ヘロデ王はこれらのことを聞くと動揺し、エルサレム中も彼と共に動揺した。
4 彼は民の祭司長たちと律法学者たちをみな集めると、メシアはどこでお生まれになるのかと彼らに尋ねた。
5 彼らは彼に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者によってこう書かれているからです。
6 『ユダの地ベツレヘムよ、あなたはユダの君たちの中で決して最も小さいものではない。あなたから治める者が出て、わたしの民イスラエルを治めるであろう。』」
7 そこでヘロデは、ひそかに博士たちを呼び、星が現れた時期を彼らから詳しく聞き出した。
8 そして彼らをベツレヘムに送り出して言った。「行って、幼子について詳しく調べなさい。見つけたら、わたしにも知らせなさい。わたしも行ってその子を礼拝するためである。」
9 彼らは王の言葉を聞いて出発した。すると、見よ、彼らが東方で見た星が彼らの先に進み、幼子のいる場所の上に来て止まった。
10 彼らは星を見ると、非常に大きな喜びにあふれて喜んだ。
11 家に入ると、幼子がその母マリアと共にいるのを見た。彼らはひれ伏してその子を礼拝し、宝箱を開けて、贈り物、すなわち黄金と乳香と没薬をその子に献げた。
12 彼らは夢でヤハウェから、ヘロデのところへ戻ってはならないと警告を受けたので、別の道を通って自分の国へ帰って行った。
13 彼らが去った後、見よ、ヤハウェの使いが夢でヨセフに現れて言った。「起きて、幼子とその母を連れてエジプトへ逃げなさい。わたしが知らせるまで、そこにいなさい。ヘロデが幼子を滅ぼそうとして捜すからである。」
14 彼は起き上がり、夜のうちに幼子とその母を連れて、エジプトへ出発した。
15 そしてヘロデが死ぬまでそこにいた。これは、預言者を通してヤハウェによって語られたこと、すなわち『わたしはエジプトからわたしの子を呼び出した』ということが成就するためであった。
16 そのときヘロデは、博士たちに欺かれたことを知って激しく怒り、人を遣わして、ベツレヘムとその全域にいる二歳以下の子らをみな殺した。これは、彼が博士たちから詳しく聞き出した時期によるものであった。
17 そのとき、預言者エレミヤによって語られたことが成就した。こう言われている。
18 「ラマで声が聞こえた。嘆きと泣き声と大きな悲しみである。ラケルがその子らのために泣き、子らがいないので慰められることを拒んだ。」
19 ヘロデが死ぬと、見よ、ヤハウェの使いがエジプトで夢にヨセフに現れ、
20 言った。「起きて、幼子とその母を連れてイスラエルの地へ行きなさい。幼子の命を狙っていた者たちは死んだからである。」
21 彼は起き上がり、幼子とその母を連れてイスラエルの地に入った。
22 しかし、アルケラオが父ヘロデに代わってユダヤを治めていると聞くと、そこへ行くことを恐れた。ところが、夢でヤハウェから警告を受けたので、ガリラヤ地方へ退いた。
23 そして来て、ナザレという町に住んだ。これは、預言者たちを通して語られたこと、すなわち『その方はナザレ人と呼ばれるであろう』ということが成就するためであった。
第3章
1 その頃、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で宣べ伝えて、
2 言った。「悔い改めなさい。天の王国が近づいたからである。」
3 この人は、預言者イザヤによって語られた人である。こう言われている。「荒野で叫ぶ者の声がする。『イエシュアの道を備えよ、その小道をまっすぐにせよ。』」
4 このヨハネは、らくだの毛の衣を着て、腰に革の帯を締めていた。その食物はいなごと野の蜜であった。
5 そのとき、エルサレムとユダヤ全域とヨルダン周辺の全地方の人々が、彼のところへ出て行き、
6 自分の罪を告白して、ヨルダンで彼からバプテスマを受けた。
7 しかし、ファリサイ派とサドカイ派の多くの者が自分のバプテスマを受けに来るのを見ると、彼は彼らに言った。「まむしの子らよ、来るべき怒りから逃れるようにと、だれがあなたがたに警告したのか。
8 それゆえ、悔い改めにふさわしい実を結びなさい。
9 そして、『わたしたちには父アブラハムがいる』と心の中で言おうとしてはならない。あなたがたに言うが、ヤハウェはこれらの石からでもアブラハムのために子らを起こすことができるのである。
10 斧はすでに木の根元に置かれている。それゆえ、良い実を結ばない木はみな切り倒されて、火に投げ込まれる。
11 わたしは悔い改めのために水であなたがたにバプテスマを授ける。しかし、わたしの後に来られる方はわたしよりも力ある方であり、わたしはその方の履物を脱がせる値打ちもない。その方はあなたがたに聖霊と火とでバプテスマを授けられるであろう。
12 その方の箕はその方の手にあり、その方は脱穀場をすっかり清め、麦を倉に集められる。しかし、殻は消すことのできない火で焼き尽くされるであろう。」
13 そのとき、イエシュアがガリラヤからヨルダンのヨハネのところへ来られた。彼からバプテスマを受けるためであった。
14 しかしヨハネはそれを止めようとして言った。「わたしこそあなたからバプテスマを受ける必要があるのに、あなたがわたしのところへ来られるのですか。」
15 イエシュアは答えて彼に言われた。「今はそうさせなさい。このようにして、すべての義を成就するのがわたしたちにふさわしいのである。」そこで彼は許した。
16 イエシュアはバプテスマを受けると、すぐに水から上がられた。すると、見よ、天が彼に開かれ、ヤハウェの霊が鳩のように降って、彼の上にとまるのを見られた。
17 そして見よ、天から声がして言った。「これはわたしの愛する子、わたしの喜ぶ者である。」
第4章
1 そのとき、イエシュアは悪魔に試みられるため、霊に導かれて荒野へ上って行かれた。
2 四十日四十夜断食されると、その後、空腹になられた。
3 試みる者が彼のもとに来て言った。「あなたがヤハウェの子であるなら、これらの石がパンになるように命じなさい。」
4 しかし彼は答えて言われた。「『人はパンだけで生きるのではなく、ヤハウェの口から出るすべての言葉によって生きる』と書かれている。」
5 そこで悪魔は彼を聖なる都に連れて行き、神殿の頂上に立たせ、
6 彼に言った。「あなたがヤハウェの子であるなら、身を投げ落としなさい。『彼はあなたのために天使たちに命じ、彼らは手であなたを支え、あなたが足を石に打ち当てることのないようにする』と書かれているからです。」
7 イエシュアは彼に言われた。「『あなたはヤハウェを試みてはならない』と再び書かれている。」
8 再び悪魔は、彼を非常に高い山に連れて行き、世のすべての王国とその栄光を見せ、
9 彼に言った。「もしあなたがひれ伏してわたしを礼拝するなら、これらすべてをあなたに差し上げましょう。」
10 そのときイエシュアは彼に言われた。「サタンよ、去れ。『あなたはヤハウェを礼拝し、ただその方にのみ仕えよ』と書かれている。」
11 そこで悪魔は彼を離れた。すると見よ、天使たちが来て彼に仕えた。
12 イエシュアは、ヨハネが投獄されたと聞くと、ガリラヤへ退かれた。
13 そしてナザレを離れ、海辺にあるカペナウムに来て住まわれた。ゼブルンとナフタリの境の地である。
14 これは、預言者イザヤを通して語られたことが成就するためであった。こう言われている。
15 「ゼブルンの地とナフタリの地、海への道、ヨルダンの向こう、異邦人のガリラヤ、
16 暗闇の中に座していた民は大きな光を見た。死の地と影に座していた者たちに、光が昇った。」
17 そのときから、イエシュアは宣べ伝え始めて言われた。「悔い改めなさい。天の王国が近づいたからである。」
18 イエシュアはガリラヤの海辺を歩いておられたとき、二人の兄弟、ペトロと呼ばれるシモンと、その兄弟アンデレが海に網を打っているのを見られた。彼らは漁師であった。
19 彼は彼らに言われた。「わたしに従って来なさい。あなたがたを人間をとる漁師にしてあげよう。」
20 彼らはすぐに網を捨てて、彼に従った。
21 そこから進んで行かれると、別の二人の兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネが、父ゼベダイと共に舟の中で網を繕っているのを見て、彼らを呼ばれた。
22 彼らはすぐに舟と父を残して、彼に従った。
23 イエシュアはガリラヤ全域を巡り、彼らの会堂で教え、王国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気とあらゆる患いを癒された。
24 その評判はシリア全域に広まった。人々は、さまざまな病気や苦しみに取りつかれた病人、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、中風の者をみな彼のもとに連れて来た。彼は彼らを癒された。
25 ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、ヨルダンの向こうから、大勢の群衆が彼に従った。
第5章
1 群衆を見ると、彼は山に登られた。彼が座られると、弟子たちが彼のもとに来た。
2 彼は口を開いて、彼らに教えて言われた。
3 「霊において貧しい者は幸いである。天の王国はその人たちのものである。
4 悲しむ者は幸いである。その人たちは慰められるからである。
5 柔和な者は幸いである。その人たちは地を受け継ぐからである。
6 義に飢え渇く者は幸いである。その人たちは満たされるからである。
7 憐れみ深い者は幸いである。その人たちは憐れみを受けるからである。
8 心の清い者は幸いである。その人たちはヤハウェを見るからである。
9 平和を作る者は幸いである。その人たちはヤハウェの子らと呼ばれるからである。
10 義のために迫害される者は幸いである。天の王国はその人たちのものである。
11 わたしのために人々があなたがたを罵り、迫害し、偽ってあらゆる悪をあなたがたに対して言うとき、あなたがたは幸いである。
12 喜びなさい、大いに喜びなさい。天におけるあなたがたの報いは大きいからである。人々は、あなたがたより前にいた預言者たちをも、そのように迫害したのである。
13 あなたがたは地の塩である。しかし、塩がその味を失ったら、何によって塩味が付けられるのか。その後は外に投げ捨てられ、人々に踏まれるほか、何の役にも立たない。
14 あなたがたは世の光である。山の上にある町は隠れることができない。
15 人々はろうそくに火をともして、升の下に置くことはせず、燭台の上に置く。そうすれば、家の中のすべての人を照らす。
16 そのように、あなたがたの光を人々の前で輝かせなさい。人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるためである。
17 わたしが律法や預言者たちを廃止するために来たと思ってはならない。廃止するためではなく、成就するために来たのである。
18 まことにあなたがたに言う。天地が過ぎ去るまで、律法から一つのヨタや一つの点画も、すべてが成就するまでは決して過ぎ去ることはない。
19 それゆえ、これらの最も小さい戒めの一つでも破り、人々にそのように教える者は、天の王国で最も小さい者と呼ばれるであろう。しかし、行って教える者は、天の王国で大いなる者と呼ばれるであろう。
20 あなたがたに言う。あなたがたの義が律法学者たちやファリサイ派の義に勝らなければ、あなたがたは決して天の王国に入ることはない。
21 あなたがたは、昔の人々に、『殺してはならない。殺す者は裁判の危険にさらされる』と言われたことを聞いている。
22 しかしわたしはあなたがたに言う。理由もなく兄弟に腹を立てる者はみな、裁判の危険にさらされる。兄弟に『ラカ』と言う者は、議会の危険にさらされる。しかし、『愚か者』と言う者は、地獄の火の危険にさらされる。
23 それゆえ、祭壇に供え物を持って来るとき、兄弟があなたに対して何か恨みを持っていることをそこで思い出したら、
24 供え物を祭壇の前に置いたまま、まず行って兄弟と和解しなさい。それから来て、供え物を献げなさい。
25 あなたを訴える者とは、共に道にいる間に早く和解しなさい。さもなければ、訴える者があなたを裁判官に渡し、裁判官が役人に渡し、あなたが牢に投げ込まれる恐れがある。
26 まことにあなたに言う。最後の一ファージングを支払うまで、あなたは決してそこから出ることはない。
27 あなたがたは、昔の人々に、『姦淫してはならない』と言われたことを聞いている。
28 しかしわたしはあなたがたに言う。情欲を抱いて女を見る者はみな、心の中でその女とすでに姦淫を犯したのである。
29 あなたの右の目があなたをつまずかせるなら、それをえぐり出して捨てなさい。あなたの体の一部が滅びる方が、全身が地獄に投げ込まれるより、あなたにとって益である。
30 あなたの右の手があなたをつまずかせるなら、それを切り落として捨てなさい。あなたの体の一部が滅びる方が、全身が地獄に投げ込まれるより、あなたにとって益である。
31 『妻を離縁する者は、離縁状を渡しなさい』と言われている。
32 しかしわたしはあなたがたに言う。不品行の理由を除いて妻を離縁する者はみな、彼女に姦淫を犯させるのである。離縁された女と結婚する者は、姦淫を犯すのである。
33 また、あなたがたは、昔の人々に、『偽りの誓いをしてはならない。ヤハウェに対する誓いは果たしなさい』と言われたことを聞いている。
34 しかしわたしはあなたがたに言う。いっさい誓ってはならない。天によっても誓ってはならない。それはヤハウェの玉座である。
35 地によっても誓ってはならない。それはその方の足台である。エルサレムによっても誓ってはならない。それは大いなる王の都である。
36 あなたの頭によっても誓ってはならない。あなたは一本の髪を白くも黒くもできないからである。
37 あなたがたの言葉は、『はい、はい』『いいえ、いいえ』としなさい。それ以上のことは悪から出るのである。
38 あなたがたは、『目には目を、歯には歯を』と言われたことを聞いている。
39 しかしわたしはあなたがたに言う。悪に手向かってはならない。あなたの右の頬を打つ者には、もう一方も向けなさい。
40 あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着も渡しなさい。
41 あなたに一マイル行くよう強いる者とは、二マイル行きなさい。
42 あなたに求める者に与え、あなたから借りようとする者を拒んではならない。
43 あなたがたは、『隣人を愛し、敵を憎め』と言われたことを聞いている。
44 しかしわたしはあなたがたに言う。敵を愛し、あなたがたを呪う者を祝福し、あなたがたを憎む者に善を行い、あなたがたを侮って用い、迫害する者のために祈りなさい。
45 そうすれば、天におられるあなたがたの父の子らとなれる。その方は、その太陽を悪人にも善人にも昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせられるからである。
46 あなたがたを愛する者を愛したところで、どんな報いがあるのか。徴税人たちでさえ、同じことをするではないか。
47 兄弟にだけ挨拶したところで、ほかの人々より何か勝ったことをするのか。徴税人たちでさえ、そうするではないか。
48 それゆえ、あなたがたは完全でありなさい。天におられるあなたがたの父が完全であられるように。」
第6章
1 人々に見られるために、人の前で施しをしないよう注意しなさい。さもなければ、天におられるあなたがたの父から報いを受けることはない。
2 それゆえ、施しをするときは、偽善者たちが会堂や通りでするように、自分の前でラッパを吹いてはならない。人々から栄誉を受けるためである。まことにあなたがたに言う。彼らはすでに自分の報いを受けている。
3 しかし、あなたが施しをするときは、右の手がしていることを左の手に知らせてはならない。
4 あなたの施しが隠れたところにあるためである。隠れたところで見ておられるあなたの父ご自身が、公にあなたに報いられるであろう。
5 祈るときは、偽善者のようであってはならない。彼らは人々に見られるために、会堂や通りの角に立って祈ることを好むからである。まことにあなたがたに言う。彼らはすでに自分の報いを受けている。
6 しかし、あなたが祈るときは、自分の奥の部屋に入り、戸を閉めて、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。隠れたところで見ておられるあなたの父が、公にあなたに報いられるであろう。
7 祈るときは、異邦人がするように、空しい繰り返しをしてはならない。彼らは言葉が多いゆえに聞かれると思っているからである。
8 それゆえ、彼らのようになってはならない。あなたがたの父は、あなたがたが求める前に、あなたがたに必要なものを知っておられるからである。
9 それゆえ、このように祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ、あなたの名が聖とされますように。
10 あなたの王国が来ますように。あなたの御心が天で行われるように、地でも行われますように。
11 わたしたちの日ごとのパンを、今日もお与えください。
12 わたしたちの負債をお赦しください。わたしたちも、自分に負債のある者たちを赦しました。
13 わたしたちを試みに遭わせず、悪からお救いください。王国と力と栄光は、永遠にあなたのものだからです。アーメン。』
14 人々の過ちをあなたがたが赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたを赦されるからである。
15 しかし、人々の過ちをあなたがたが赦さなければ、あなたがたの父もあなたがたの過ちを赦されないであろう。
16 断食するときは、偽善者のように悲しげな顔つきをしてはならない。彼らは断食していることが人々に見えるように、顔を損なうからである。まことにあなたがたに言う。彼らはすでに自分の報いを受けている。
17 しかし、あなたが断食するときは、頭に油を塗り、顔を洗いなさい。
18 断食していることが人々に見えるためではなく、隠れたところにおられるあなたの父に見ていただくためである。隠れたところで見ておられるあなたの父が、公にあなたに報いられるであろう。
19 地上に宝を蓄えてはならない。そこでは虫とさびが損ない、盗人が押し入って盗むからである。
20 天に宝を蓄えなさい。そこでは虫もさびも損なわず、盗人が押し入って盗むこともないからである。
21 あなたの宝があるところに、あなたの心もあるからである。
22 体の明かりは目である。それゆえ、あなたの目が単一であれば、あなたの全身は明るくなる。
23 しかし、あなたの目が悪ければ、あなたの全身は暗くなる。それゆえ、あなたの内にある光が暗闇であれば、その暗闇はどれほどであろうか。
24 だれも二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に固く着いて他方を軽んじるかである。あなたがたはヤハウェとマモンに仕えることはできない。
25 それゆえあなたがたに言う。何を食べるか何を飲むかと、自分の命のことで思い煩ってはならない。何を着るかと、体のことで思い煩ってはならない。命は食物に勝り、体は衣服に勝るではないか。
26 空の鳥を見なさい。彼らは蒔きもせず、刈りもせず、倉に集めもしない。それでも、あなたがたの天の父は彼らを養われる。あなたがたは彼らよりはるかに優れているではないか。
27 あなたがたのうちだれが、思い煩うことで、自分の背丈に一キュビトを加えることができるのか。
28 なぜ衣服のことで思い煩うのか。野のゆりがどう育つか、よく考えなさい。彼らは労することも紡ぐこともない。
29 しかしあなたがたに言う。ソロモンは、その全栄光の中でも、これらの花の一つほどにも装われなかった。
30 今日あって明日炉に投げ込まれる野の草を、ヤハウェがこのように装われるのであれば、信仰の薄い者たちよ、あなたがたにはなおさら、ずっとよく装わせてくださらないであろうか。
31 それゆえ、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い煩ってはならない。
32 (これらすべては異邦人が求めることである。)あなたがたの天の父は、あなたがたがこれらすべてを必要としていることを知っておられるからである。
33 まずヤハウェの王国とその方の義を求めなさい。そうすれば、これらすべてはあなたがたに加えられるであろう。
34 それゆえ、明日のことで思い煩ってはならない。明日は明日のことが思い煩うであろう。その日の悪は、その日で十分である。」
第7章
1 裁いてはならない。あなたがたも裁かれないためである。
2 あなたがたが裁く裁きで、あなたがたも裁かれるからである。あなたがたが量る量りで、あなたがたにも量り返されるであろう。
3 なぜ兄弟の目にあるちりを見るのに、自分の目にある梁に気づかないのか。
4 自分の目に梁があるのに、どうして兄弟に、『あなたの目からちりを取らせてください』と言えるのか。
5 偽善者よ、まず自分の目から梁を取り除きなさい。そうすれば、兄弟の目からちりを取り除くのがはっきり見えるであろう。
6 聖なるものを犬に与えてはならない。真珠を豚の前に投げてはならない。彼らがそれを足で踏みつけ、振り向いてあなたがたを引き裂く恐れがある。
7 求めなさい。そうすれば与えられる。探しなさい。そうすれば見つかる。叩きなさい。そうすれば開かれる。
8 求める者はみな受け、探す者は見つけ、叩く者には開かれるからである。
9 あなたがたのうち、息子がパンを求めるのに、石を与える者がいるであろうか。
10 魚を求めるのに、蛇を与える者がいるであろうか。
11 あなたがたは悪くても、自分の子らに良い贈り物を与えることを知っている。それなら、天におられるあなたがたの父は、求める者たちに良いものをなおさら与えられるであろう。
12 それゆえ、人々にしてもらいたいことは何でも、あなたがたも人々にそのようにしなさい。これが律法と預言者たちである。
13 狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道は広い。そこから入る者は多い。
14 命に通じる門は狭く、その道は細い。見つける者は少ないからである。
15 偽預言者たちに注意しなさい。彼らは羊の衣を着てあなたがたのところへ来るが、内側は強欲な狼である。
16 あなたがたはその実によって彼らを知るであろう。人々が茨からぶどうを、薊からいちじくを集めるであろうか。
17 そのように、良い木はみな良い実を結び、腐った木は悪い実を結ぶ。
18 良い木が悪い実を結ぶことはできず、腐った木が良い実を結ぶこともできない。
19 良い実を結ばない木はみな切り倒されて、火に投げ込まれる。
20 それゆえ、その実によってあなたがたは彼らを知るであろう。
21 わたしに『イエシュアよ、イエシュアよ』と言う者がみな天の王国に入るのではなく、天におられるわたしの父の御心を行う者が入るのである。
22 その日には多くの者がわたしに言うであろう。『イエシュアよ、イエシュアよ、わたしたちはあなたの名によって預言し、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって多くの不思議な業を行ったではありませんか。』
23 そのとき、わたしは彼らに言い渡すであろう。『わたしはあなたがたを決して知らなかった。不義を行う者たちよ、わたしから去れ。』
24 それゆえ、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者はみな、岩の上に家を建てた賢い人にたとえられる。
25 雨が降り、洪水が来て、風が吹いてその家に打ち当たった。しかし、その家は倒れなかった。岩の上に基礎が置かれていたからである。
26 わたしのこれらの言葉を聞いて行わない者はみな、砂の上に家を建てた愚かな人にたとえられる。
27 雨が降り、洪水が来て、風が吹いてその家に打ち当たった。するとその家は倒れ、その倒れは大きかった。」
28 イエシュアがこれらの言葉を終えられると、人々はその教えに驚いた。
29 彼は律法学者たちのようではなく、権威を持つ者として彼らを教えられたからである。
第8章
1 彼が山から下りて来られると、大勢の群衆が彼に従った。
2 すると見よ、重い皮膚病の人が来て彼を礼拝し、言った。「イエシュアよ、あなたが望まれるなら、わたしを清くすることができます。」
3 イエシュアは手を伸ばして彼に触れ、言われた。「わたしは望む。清くなれ。」すぐに彼の重い皮膚病は清められた。
4 イエシュアは彼に言われた。「だれにも話さないよう注意しなさい。ただ行って、自分を祭司に見せ、モーセが命じた供え物を献げなさい。彼らへの証しのためである。」
5 イエシュアがカペナウムに入られると、百人隊長が彼のもとに来て、懇願して、
6 言った。「イエシュアよ、わたしの召使いが中風で家に倒れ、ひどく苦しんでいます。」
7 イエシュアは彼に言われた。「わたしが行って癒してあげよう。」
8 百人隊長は答えて言った。「イエシュアよ、わたしはあなたにわたしの屋根の下に入っていただく値打ちがありません。ただ一言おっしゃってください。そうすれば、わたしの召使いは癒されます。
9 わたしも権威の下にある人間であり、わたしの下には兵士たちがいます。この者に『行け』と言えば行き、別の者に『来い』と言えば来ます。召使いに『これをしろ』と言えば、彼はそれをします。」
10 イエシュアはこれを聞いて驚き、従っていた者たちに言われた。「まことにあなたがたに言う。イスラエルの中でも、これほど大きな信仰をわたしは見たことがない。
11 あなたがたに言う。多くの者が東からも西からも来て、天の王国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に席に着くであろう。
12 しかし、王国の子らは外の暗闇に追い出される。そこでは泣くことと歯ぎしりがあるであろう。」
13 イエシュアは百人隊長に言われた。「行きなさい。あなたが信じたとおりに、あなたになされるように。」召使いはその時刻に癒された。
14 イエシュアがペトロの家に来られると、彼の妻の母が熱で倒れているのを見られた。
15 彼は彼女の手に触れられると、熱は彼女から去った。彼女は起き上がって、彼らに仕えた。
16 夕方になると、人々は悪霊に取りつかれた者を大勢彼のもとに連れて来た。彼は言葉をもって霊たちを追い出し、病人をみな癒された。
17 これは、預言者イザヤを通して語られたことが成就するためであった。こう言われている。「その方ご自身がわたしたちの弱さを受け、病いを担われた。」
18 イエシュアは、自分の周りに大勢の群衆がいるのを見ると、向こう岸へ出発するよう命じられた。
19 一人の律法学者が来て彼に言った。「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従って行きます。」
20 イエシュアは彼に言われた。「狐には穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子には頭を横たえる場所がない。」
21 弟子のうち別の者が彼に言った。「イエシュアよ、まず行って父を葬ることをお許しください。」
22 しかしイエシュアは彼に言われた。「わたしに従って来なさい。死人たちに、彼らの死人を葬らせなさい。」
23 彼が舟に乗り込まれると、弟子たちが彼に従った。
24 すると見よ、海に大嵐が起こり、舟は波に覆われるほどであった。しかし彼は眠っておられた。
25 弟子たちは彼のもとに来て彼を起こし、言った。「イエシュアよ、お救いください。わたしたちは滅びます。」
26 彼は彼らに言われた。「信仰の薄い者たちよ、なぜ恐れるのか。」それから起き上がって、風と海を叱りつけられると、大いなる凪になった。
27 人々は驚いて言った。「これはどんな方であろうか。風も海も従うとは。」
28 彼が向こう岸のゲルゲサ人の地方に来られると、悪霊に取りつかれた二人が墓から出て来て彼に出会った。非常に凶暴で、だれもその道を通ることができなかった。
29 すると見よ、彼らは叫んで言った。「ヤハウェの子イエシュアよ、あなたはわたしたちと何の関わりがあるのですか。その時が来る前に、わたしたちを苦しめるためにここへ来られたのですか。」
30 彼らから遠く離れた所で、多くの豚の群れが草を食んでいた。
31 悪霊たちは彼に懇願して言った。「わたしたちを追い出されるなら、あの豚の群れの中へ行くことをお許しください。」
32 彼は彼らに言われた。「行け。」彼らは出て来て豚の群れに入った。すると見よ、豚の群れ全体が崖を激しく駆け下りて海に入り、水の中で滅びた。
33 飼っていた者たちは逃げて町に行き、すべてのこと、悪霊に取りつかれた者たちに起こったことを伝えた。
34 すると見よ、町全体がイエシュアに会いに出て来た。彼を見ると、自分たちの地方から去ってくださるよう彼に懇願した。
第9章
1 彼は舟に乗り、渡って、自分の町に来られた。
2 すると見よ、人々は中風の人を床に横たえて彼のもとに連れて来た。イエシュアは彼らの信仰を見て、中風の人に言われた。「子よ、安心しなさい。あなたの罪は赦されている。」
3 すると見よ、律法学者のうちのある者たちが心の中で言った。「この男は冒瀆している。」
4 イエシュアは彼らの思いを知って言われた。「なぜあなたがたは心の中で悪いことを考えるのか。
5 『あなたの罪は赦されている』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。
6 しかし、人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたに知らせるためである。」(それから中風の人に言われた。)「起きなさい。床を取り上げて、家に帰りなさい。」
7 彼は起き上がって、家へ帰って行った。
8 群衆はこれを見ると驚き、人々にこのような権威をお与えになったヤハウェをあがめた。
9 イエシュアがそこから進んで行かれると、マタイという名の男が税関に座っているのを見て、彼に言われた。「わたしに従って来なさい。」彼は立ち上がって彼に従った。
10 イエシュアが家で食事の席に着いておられたとき、見よ、多くの徴税人や罪人が来て、彼と弟子たちと共に席に着いた。
11 ファリサイ派はこれを見ると、弟子たちに言った。「なぜあなたがたの先生は、徴税人や罪人と共に食べるのか。」
12 イエシュアはこれを聞くと、彼らに言われた。「健康な人には医者は要らず、病人に要るのである。
13 行って、『わたしは犠牲ではなく憐れみを望む』とはどういう意味か、学びなさい。わたしは正しい者を招くためではなく、罪人を悔い改めに招くために来たのである。」
14 そのとき、ヨハネの弟子たちが彼のもとに来て言った。「なぜわたしたちとファリサイ派は度々断食するのに、あなたの弟子たちは断食しないのですか。」
15 イエシュアは彼らに言われた。「花婿が共にいる間、花婿の付き添いの子らが悲しむことができるであろうか。しかし、花婿が彼らから取り去られる日々が来る。そのとき彼らは断食するであろう。
16 だれも新しい布切れを古い衣に当てはしない。当て布が衣から引きちぎれ、破れがもっと悪くなるからである。
17 人々は新しいぶどう酒を古い革袋に入れもしない。そうすれば、革袋が破れ、ぶどう酒が流れ出て、革袋も滅びる。新しいぶどう酒は新しい革袋に入れる。そうすれば両方とも保たれる。」
18 彼がこれらのことを彼らに話しておられる間に、見よ、一人の指導者が来て彼を礼拝し、言った。「わたしの娘がちょうど今死にました。しかし、来てその子の上に手を置いてください。そうすれば生き返ります。」
19 イエシュアは立ち上がって彼に従われ、弟子たちもそうした。
20 すると見よ、十二年間血の流れの病いにかかっていた一人の女が、彼の後ろから近づいて、その衣の房に触れた。
21 彼女は心の中で、『その衣に触れるだけでも、わたしは癒される』と言っていたからである。
22 イエシュアは振り向いて彼女を見ると、言われた。「娘よ、安心しなさい。あなたの信仰があなたを癒したのである。」女はその時刻から癒された。
23 イエシュアが指導者の家に来られ、笛吹きたちと騒いでいる人々を見ると、
24 彼らに言われた。「退きなさい。少女は死んだのではなく、眠っているのである。」彼らは彼を嘲笑した。
25 人々が外に出されると、彼は中に入り、彼女の手を取られた。少女は起き上がった。
26 この評判はその地方全体に広まった。
27 イエシュアがそこから去って行かれると、二人の盲人が彼に従い、叫んで言った。「ダビデの子よ、わたしたちを憐れんでください。」
28 彼が家に入られると、盲人たちが彼のもとに来た。イエシュアは彼らに言われた。「わたしにこれができると信じるか。」彼らは彼に言った。「はい、イエシュアよ。」
29 そこで彼は彼らの目に触れて言われた。「あなたがたの信仰どおりに、あなたがたになされるように。」
30 彼らの目は開かれた。イエシュアは彼らを厳しく戒めて言われた。「だれにも知られないよう注意しなさい。」
31 しかし彼らは出て行き、その地方全体に彼の評判を広めた。
32 彼らが出て行くと、見よ、人々は悪霊に取りつかれて口の聞けない男を彼のもとに連れて来た。
33 悪霊が追い出されると、口の聞けなかった者が語った。群衆は驚いて言った。「イスラエルでは、このようなことは一度も見たことがない。」
34 しかしファリサイ派は言った。「彼は悪霊たちの頭によって悪霊を追い出している。」
35 イエシュアはすべての町と村を巡り、彼らの会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民のあらゆる病気とあらゆる疾患をいやされた。
36 しかし、群衆を見ると、彼らが羊飼いのいない羊のように疲れ果て、散らされていたので、彼らを深く憐れまれた。
37 そこで弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手は少ない。
38 だから、収穫のヤハウェに、ご自分の収穫のために働き手を送り出してくださるよう祈りなさい。」
第10章
1 彼は十二人の弟子を呼び寄せ、汚れた霊どもに対する権能をお与えになった。それらを追い出し、あらゆる病気とあらゆる疾患をいやすためである。
2 十二使徒の名は次のとおりである。第一に、ペトロと呼ばれるシモンと、その兄弟アンデレ。ゼベダイの子ヤコブと、その兄弟ヨハネ。
3 フィリポとバルトロマイ。トマスと、徴税人マタイ。アルファイの子ヤコブと、タダイと呼ばれたレバイ。
4 熱心党のシモンと、彼を裏切ったイスカリオテのユダである。
5 イエシュアはこの十二人を遣わし、命じて言われた。「異邦人の道に行くな。サマリア人の町にも入るな。
6 むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところへ行きなさい。
7 行きながら宣べ伝えて言いなさい。『天の御国は近づいた』と。
8 病人をいやし、らい病人を清め、死人をよみがえらせ、悪霊どもを追い出しなさい。ただで受けたのだから、ただで与えなさい。
9 財布に金も銀も青銅も持って行くな。
10 旅のための袋も、二枚の下着も、履物も、杖も持って行くな。働く者は自分の食物を受けるに値するからである。
11 どの町や村に入っても、その中でふさわしい人がだれかを尋ね、出発するまでそこにとどまりなさい。
12 家に入るときは、その家に挨拶しなさい。
13 その家がふさわしければ、あなたがたの平和がその上に臨むがよい。ふさわしくなければ、あなたがたの平和はあなたがたに帰るがよい。
14 だれかがあなたがたを受け入れず、あなたがたの言葉を聞かないなら、その家や町を出るとき、足の塵を払い落としなさい。
15 まことに、あなたがたに言う。さばきの日には、その町よりもソドムとゴモラの地のほうが耐えやすいであろう。
16 見よ、わたしはあなたがたを、狼の真ん中に羊を送るように遣わす。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直でありなさい。
17 人々に用心しなさい。彼らはあなたがたを議会に引き渡し、会堂でむち打つであろう。
18 あなたがたは、わたしのために総督たちや王たちの前に連れて行かれる。それは、彼らと異邦人に対する証しとなるためである。
19 彼らがあなたがたを引き渡すとき、どのように、何を語ろうかと心配するな。その時、語るべきことはあなたがたに与えられる。
20 語るのはあなたがたではなく、あなたがたのうちに語られる、あなたがたの父の霊である。
21 兄弟は兄弟を死に引き渡し、父は子を引き渡すであろう。子たちは親に逆らって立ち、親を死に至らせるであろう。
22 あなたがたは、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
23 この町で迫害されたら、別の町へ逃げなさい。まことに、あなたがたに言う。人の子が来るまでに、あなたがたはイスラエルの町々を巡り終えることはないであろう。
24 弟子は師にまさらず、しもべはその主人にまさることはない。
25 弟子が師のようになり、しもべがその主人のようになれば十分である。家の主人をベルゼブブと呼んだのなら、その家の者たちをなおさら悪く呼ぶであろう。
26 だから、彼らを恐れるな。覆われていて現されないものはなく、隠されていて知られないものはない。
27 わたしが暗闇であなたがたに語ることを、光の中で語りなさい。耳で聞くことを、屋根の上で宣べ伝えなさい。
28 体を殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方を恐れなさい。
29 二羽の雀は一アサリオンで売られているではないか。その一羽でも、あなたがたの父によらずに地に落ちることはない。
30 あなたがたの頭の毛までも、すべて数えられている。
31 だから恐れるな。あなたがたは多くの雀よりも尊い。
32 だから、人の前でわたしを告白する者はだれでも、わたしも天におられるわたしの父の前でその者を告白する。
33 しかし、人の前でわたしを否む者はだれでも、わたしも天におられるわたしの父の前でその者を否む。
34 わたしが地上に平和を送るために来たと思うな。わたしが来たのは平和ではなく、剣を送るためである。
35 わたしは、人をその父に、娘をその母に、嫁をその姑に逆らわせるために来たからである。
36 人の敵はその家の者たちとなるであろう。
37 わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりも息子や娘を愛する者も、わたしにふさわしくない。
38 自分の十字架を担ってわたしに従わない者は、わたしにふさわしくない。
39 自分の命を見出す者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者はそれを見出すであろう。
40 あなたがたを受け入れる者はわたしを受け入れ、わたしを受け入れる者はわたしを遣わされた方を受け入れる。
41 預言者を預言者の名において受け入れる者は、預言者の報いを受ける。正しい人を正しい人の名において受け入れる者は、正しい人の報いを受ける。
42 これらの小さな者の一人に、弟子の名において冷たい水一杯でも飲ませる者はだれでも、まことに、あなたがたに言う。その者は決してその報いを失うことはない。」
第11章
1 イエシュアが十二人の弟子への命令を終えられたとき、そこを去って、彼らの町々で教え、宣べ伝えられた。
2 ヨハネは、牢の中でメシアの働きを聞き、自分の弟子を二人遣わして、
3 彼に言わせた。「来るべき方はあなたですか。それとも、ほかの方を待つべきですか。」
4 イエシュアは答えて彼らに言われた。「行って、あなたがたが聞き、見ていることをヨハネに知らせなさい。
5 目の見えない者は見え、足の不自由な者は歩き、らい病人は清められ、耳の聞こえない者は聞き、死人はよみがえらされ、貧しい者には福音が宣べ伝えられている。
6 わたしにつまずかない者は幸いである。」
7 彼らが去って行くと、イエシュアは群衆にヨハネについて語り始められた。「あなたがたは何を見に荒れ野へ出て行ったのか。風に揺れる葦か。
8 では、何を見に出て行ったのか。柔らかな衣を着た人か。見よ、柔らかな衣を着る者たちは王の家にいる。
9 では、何を見に出て行ったのか。預言者か。そうである、あなたがたに言う。預言者以上の者である。
10 この人こそ、『見よ、わたしはあなたの前に使者を遣わす。その者はあなたの前にあなたの道を備える』と書かれている者である。
11 まことに、あなたがたに言う。女から生まれた者の中で、バプテスマのヨハネより偉大な者は現れなかった。しかし、天の御国で最も小さい者でも、彼より偉大である。
12 バプテスマのヨハネの日々から今に至るまで、天の御国は激しく攻められ、激しく攻める者たちがそれを奪っている。
13 すべての預言者と律法は、ヨハネまで預言したからである。
14 もし受け入れるつもりなら、この人こそ来るべきエリヤである。
15 聞く耳のある者は聞くがよい。
16 この世代を何にたとえようか。市場に座り、仲間に呼びかける子どもたちのようである。
17 彼らは言う。『笛を吹いたのに、踊らなかった。嘆いたのに、悲しまなかった。』
18 ヨハネが来て、食べも飲みもしないと、人々は『彼は悪霊に取りつかれている』と言う。
19 人の子が来て食べたり飲んだりすると、人々は言う。『見よ、大食いで大酒飲み、徴税人や罪人の仲間だ。』しかし、知恵はその子らによって正しいとされる。」
20 そこで彼は、自分の力ある働きのほとんどが行われた町々を責め始められた。彼らが悔い改めなかったからである。
21 「コラジンよ、災いだ。ベトサイダよ、災いだ。あなたがたの中で行われた力ある働きがティルスとシドンで行われていたなら、彼らはとうの昔に粗布をまとい、灰をかぶって悔い改めていたであろう。
22 しかし、あなたがたに言う。さばきの日には、あなたがたよりもティルスとシドンのほうが耐えやすいであろう。
23 カペルナウムよ、天にまで上げられたあなたは、地獄にまで落とされるであろう。あなたの中で行われた力ある働きがソドムで行われていたなら、ソドムは今日まで残っていたであろう。
24 しかし、あなたがたに言う。さばきの日には、あなたよりもソドムの地のほうが耐えやすいであろう。」
25 その時、イエシュアは答えて言われた。「父よ、天と地のヤハウェよ、あなたを賛美します。あなたはこれらのことを知恵ある者や賢い者には隠し、幼子たちに現されたからです。
26 そうです、父よ、それがあなたの御心にかなったことでした。
27 すべてのものは、わたしの父からわたしに委ねられている。子を知る者は父のほかになく、父を知る者は子と、子が現そうと思う者のほかにはない。
28 労苦し、重荷を負う者たちは皆、わたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませる。
29 わたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。わたしは柔和で、心のへりくだった者である。そうすれば、あなたがたの魂に安らぎが見出される。
30 わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからである。」
第12章
1 その頃、イエシュアは安息日に麦畑を通られた。弟子たちは空腹になり、穂を摘んで食べ始めた。
2 ファリサイ人はそれを見て、彼に言った。「見なさい。あなたの弟子たちは、安息日にしてはならないことをしている。」
3 彼は彼らに言われた。「ダビデが、自分も一緒にいた者たちも空腹だったとき、何をしたか、読んだことがないのか。
4 彼はヤハウェの家に入り、供えのパンを食べた。それは、彼や一緒にいた者たちが食べてよいものではなく、祭司たちだけが食べてよいものであった。
5 また、律法の中で、安息日に祭司たちが宮で安息日を破っても罪にならないと、読んだことがないのか。
6 あなたがたに言う。ここには、宮よりも偉大な者がいる。
7 『わたしが望むのは憐れみであり、いけにえではない』という意味が分かっていたなら、罪のない者たちを責めはしなかったであろう。
8 人の子は、安息日においてもイエシュアである。」
9 彼はそこを去って、彼らの会堂に入られた。
10 見よ、手の萎えた人がいた。人々は彼を訴えようとして尋ねた。「安息日にいやすことは律法にかなっていますか。」
11 彼は彼らに言われた。「あなたがたのうちだれか、一匹の羊を持っていて、それが安息日に穴に落ちたら、つかんで引き上げないだろうか。
12 人は羊よりも、どれほど尊いことか。だから、安息日に良いことをするのは律法にかなっている。」
13 そこで、その人に言われた。「手を伸ばしなさい。」彼は伸ばした。すると、手はもう一方のように元どおり健やかになった。
14 ファリサイ人は出て行き、彼を滅ぼそうとして相談した。
15 イエシュアはそれを知って、そこから立ち退かれた。大勢の群衆が従い、彼らを皆いやされた。
16 そして、ご自分を宣伝しないよう、彼らに厳しく命じられた。
17 それは、預言者イザヤを通して語られたことが成就するためであった。こう言われている。
18 「見よ、わたしが選んだわたしのしもべ。わたしの愛する者、わたしの魂が喜ぶ者。わたしは彼の上にわたしの霊を置く。彼は異邦人にさばきを示す。
19 彼は争わず、叫ばず、その声を大通りで聞く者はいない。
20 彼は、さばきを勝利に至らせるまで、傷んだ葦を折らず、くすぶる亜麻を消さない。
21 異邦人は彼の名に望みを置く。」
22 その時、悪霊に取りつかれ、目が見えず、口の利けない人が彼のもとに連れて来られた。彼がその人をいやすと、目が見えず口の利けなかった者は、語り、見るようになった。
23 民は皆驚いて言った。「この人はダビデの子ではないか。」
24 ファリサイ人はこれを聞いて言った。「この者は、悪霊どもの頭ベルゼブブによらなければ、悪霊どもを追い出したりはしない。」
25 イエシュアは彼らの思いを知って、彼らに言われた。「自ら分かれる国は皆荒れ果て、自ら分かれる町や家は皆立つことがない。
26 サタンがサタンを追い出すなら、自ら分かれている。その国はどうして立つことができようか。
27 わたしがベルゼブブによって悪霊どもを追い出すのなら、あなたがたの子らはだれによって追い出すのか。だから、彼らがあなたがたのさばき手となる。
28 しかし、わたしがヤハウェの霊によって悪霊どもを追い出すのなら、ヤハウェの御国はあなたがたのところに来ている。
29 強い人の家に入って、その家財を奪うには、まず強い人を縛り上げなければ、どうしてできるだろうか。その後で、その家を奪うことができる。
30 わたしと共にいない者はわたしに敵し、わたしと共に集めない者は散らす。
31 だから、あなたがたに言う。あらゆる罪と冒涜は人々に赦されるであろう。しかし、聖霊に対する冒涜は人々に赦されない。
32 人の子に逆らって言葉を語る者はだれでも赦されるであろう。しかし、聖霊に逆らって語る者はだれでも、この世でも、来るべき世でも赦されない。
33 木を良いとし、その実も良いとするか、木を腐ったものとし、その実も腐ったものとするか、どちらかである。木はその実によって知られるからである。
34 まむしの子らよ、悪い者であるあなたがたが、どうして良いことを語ることができようか。心に満ちているものから、口が語るからである。
35 善い人は、善い宝から善いものを取り出す。悪い人は、悪い宝から悪いものを取り出す。
36 あなたがたに言う。人々が語る無益な言葉はすべて、さばきの日に申し開きをしなければならない。
37 あなたは自分の言葉によって義とされ、自分の言葉によって罪ありとされるからである。」
38 その時、律法学者とファリサイ人の中の数人が答えて言った。「先生、あなたからしるしを見せていただきたいのです。」
39 彼は答えて彼らに言われた。「悪い、姦淫する世代はしるしを求める。しかし、預言者ヨナのしるし以外には、しるしは与えられない。
40 ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、地の心の中にいるであろう。
41 ニネベの人々は、さばきにおいてこの世代と共に立ち上がり、この世代を罪ありとする。彼らはヨナの宣教によって悔い改めたからである。見よ、ヨナよりも偉大な者がここにいる。
42 南の女王は、さばきにおいてこの世代と共に立ち上がり、この世代を罪ありとする。彼女はソロモンの知恵を聞くために、地の果てから来たからである。見よ、ソロモンよりも偉大な者がここにいる。
43 汚れた霊が人から出て行くと、水のない場所を巡って休みを求めるが、見出せない。
44 そこで言う。『出て来た自分の家に帰ろう。』帰って来ると、空で、掃除され、整えられているのを見つける。
45 すると、行って、自分よりも悪いほかの七つの霊を連れて来て、入り込んでそこに住む。その人の最後の状態は、初めよりも悪くなる。この悪い世代にも、そのようになるであろう。」
46 彼がまだ民に語っていると、見よ、母と兄弟たちが、彼と話そうとして外に立っていた。
47 ある人が彼に言った。「見なさい。あなたの母上と兄弟たちが、あなたと話そうとして外に立っています。」
48 彼は、知らせた人に答えて言われた。「わたしの母とはだれか。わたしの兄弟たちとはだれか。」
49 そして、弟子たちのほうへ手を伸ばして言われた。「見よ、わたしの母とわたしの兄弟たちである。
50 天におられるわたしの父の御心を行う者はだれでも、その者がわたしの兄弟であり、姉妹であり、母である。」
第13章
1 その日、イエシュアは家を出て、海辺に座られた。
2 大勢の群衆が彼のもとに集まったので、彼は舟に乗って座られ、群衆は皆岸辺に立った。
3 彼は多くのことをたとえで彼らに語って言われた。「見よ、種を蒔く人が種蒔きに出て行った。
4 蒔いていると、ある種は道端に落ち、鳥たちが来て食べてしまった。
5 ほかの種は、土のあまりない石地に落ちた。土が深くなかったので、すぐに芽を出したが、
6 日が昇ると焼けて、根がなかったので枯れてしまった。
7 ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてふさいでしまった。
8 ほかの種は良い地に落ち、実を結んだ。あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍であった。
9 聞く耳のある者は聞くがよい。」
10 弟子たちが近づいて、彼に言った。「なぜ、彼らにたとえで語られるのですか。」
11 彼は答えて彼らに言われた。「あなたがたには天の御国の奥義を知ることが与えられているが、彼らには与えられていないからである。
12 持っている者には与えられ、豊かになる。持っていない者からは、持っているものまで取り上げられる。
13 だから、わたしは彼らにたとえで語る。彼らは見ても見ず、聞いても聞かず、理解もしないからである。
14 彼らにおいて、イザヤの預言が成就している。『聞くには聞くが、決して理解しない。見るには見るが、決して認めない。
15 この民の心は鈍くなり、耳は聞くのが重くなり、彼らは目を閉じた。目で見、耳で聞き、心で理解し、立ち帰って、わたしにいやされることのないためである。』
16 しかし、あなたがたの目は幸いである。見ているからである。あなたがたの耳も幸いである。聞いているからである。
17 まことに、あなたがたに言う。多くの預言者と正しい人々は、あなたがたが見ているものを見たいと望んだが見ず、あなたがたが聞いているものを聞きたいと望んだが聞かなかった。
18 だから、種を蒔く人のたとえを聞きなさい。
19 だれかが御国の言葉を聞いて理解しないと、悪い者が来て、その心に蒔かれたものを奪い取る。これが道端に種を受けた者である。
20 石地に種を受けた者とは、言葉を聞くと、すぐに喜んで受け入れる者である。
21 しかし、自分の中に根がないので、しばらく続くだけである。言葉のために苦難や迫害が起こると、すぐにつまずく。
22 茨の間に種を受けた者とは、言葉を聞くが、この世の思い煩いと富の惑わしが言葉をふさぎ、実を結ばない者である。
23 良い地に種を受けた者とは、言葉を聞いて理解する者である。その者は実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍を生み出す。」
24 彼は別のたとえを彼らに示して言われた。「天の御国は、自分の畑に良い種を蒔いた人のようである。
25 人々が眠っている間に、その敵が来て、麦の間に毒麦を蒔いて去って行った。
26 芽が出て実を結ぶと、毒麦も現れた。
27 家の主人のしもべたちが来て言った。『ご主人様、畑に良い種をお蒔きになったのではありませんか。では、毒麦はどこから来たのですか。』
28 主人は言った。『敵がしたことだ。』しもべたちは言った。『では、行って集めましょうか。』
29 主人は言った。『いや、毒麦を集めるついでに、麦までも抜いてしまうかもしれない。
30 両方とも収穫まで共に育つがよい。収穫の時、刈る者たちに言う。まず毒麦を集めて束ね、焼くためにまとめよ。麦はわたしの倉に集めよ。』」
31 彼は別のたとえを彼らに示して言われた。「天の御国は、からし種のようである。人がそれを取って、自分の畑に蒔いた。
32 それはすべての種の中で最も小さい。しかし、育つと野菜の中で最も大きくなり、木となって、空の鳥が来てその枝に宿るほどになる。」
33 彼は別のたとえを彼らに語られた。「天の御国はパン種のようである。女がそれを取って、三サトンの粉の中に隠すと、全体が膨らんだ。」
34 イエシュアはこれらすべてのことを、たとえで群衆に語られた。たとえによらなければ、彼らに語られなかった。
35 それは、預言者を通して語られたことが成就するためであった。『わたしはたとえで口を開く。世の基が置かれたときから隠されてきたことを語る。』
36 その後、イエシュアは群衆を去らせて、家に入られた。弟子たちが近づいて言った。「畑の毒麦のたとえを説明してください。」
37 彼は答えて彼らに言われた。「良い種を蒔く者は人の子である。
38 畑は世界である。良い種は御国の子らであり、毒麦は悪い者の子らである。
39 それらを蒔いた敵は悪魔である。収穫は世の終わりであり、刈る者たちは御使いである。
40 毒麦が集められて火で焼かれるように、この世の終わりにもそのようになる。
41 人の子は御使いを遣わす。彼らは、つまずきとなるすべてのものと、不法を行う者たちを御国から集め、
42 火の炉に投げ入れる。そこでは泣き叫びと歯ぎしりがある。
43 その時、正しい人々は、彼らの父の御国で太陽のように輝く。聞く耳のある者は聞くがよい。
44 また、天の御国は、畑に隠された宝のようである。人はそれを見つけると隠し、喜びのあまり行って、持っているものをすべて売り、その畑を買う。
45 また、天の御国は、良い真珠を探す商人のようである。
46 彼は値打ちの高い真珠を一つ見つけると、行って持っているものをすべて売り、それを買った。
47 また、天の御国は、海に投げ入れられて、あらゆる種類のものを集める網のようである。
48 網がいっぱいになると、人々は岸に引き上げ、座って、良いものを器に集め、悪いものを外に投げた。
49 世の終わりにもそのようになる。御使いたちが出て来て、正しい人々の中から悪い者たちを分け、
50 火の炉に投げ入れる。そこでは泣き叫びと歯ぎしりがある。」
51 イエシュアは彼らに言われた。「これらすべてのことが分かったか。」彼らは言った。「はい、イエシュアよ。」
52 彼は彼らに言われた。「だから、天の御国に教えられた律法学者は皆、宝の中から新しいものと古いものを取り出す家の主人のようである。」
53 イエシュアがこれらのたとえを語り終えられると、そこを去られた。
54 自分の郷里に来られると、彼らの会堂で教えられた。人々は驚いて言った。「この人は、この知恵と力ある働きをどこから得たのか。
55 この人は大工の息子ではないか。その母はマリアと呼ばれ、兄弟たちはヤコブ、ヨセ、シモン、ユダではないか。
56 その姉妹たちは皆、わたしたちと一緒にいるではないか。では、この人はこれらすべてをどこから得たのか。」
57 人々は彼につまずいた。しかし、イエシュアは彼らに言われた。「預言者が敬われないのは、自分の郷里と自分の家の中だけである。」
58 彼らの不信仰のゆえに、そこでは多くの力ある働きをされなかった。
第14章
1 その頃、四分封領主ヘロデは、イエシュアの評判を聞いて、
2 自分の家臣たちに言った。「これはバプテスマのヨハネだ。彼は死人の中からよみがえったのだ。だから、力ある働きが彼のうちに現れている。」
3 ヘロデは、彼の兄弟フィリポの妻ヘロディアのゆえに、ヨハネを捕らえて縛り、牢に入れていたからである。
4 ヨハネはヘロデに言っていた。「彼女を妻にすることは、あなたに許されていない。」
5 ヘロデはヨハネを殺そうと思ったが、群衆を恐れた。人々がヨハネを預言者と見なしていたからである。
6 ヘロデの誕生日が祝われたとき、ヘロディアの娘が皆の前で踊り、ヘロデを喜ばせた。
7 そこでヘロデは、彼女が願うものは何でも与えると、誓って約束した。
8 彼女は母に前もって言われていたので、言った。「バプテスマのヨハネの首を、盆に載せてここでください。」
9 王は悲しんだが、誓いと、同席していた人々のゆえに、それを与えるよう命じた。
10 人を遣わして、牢の中でヨハネの首をはねさせた。
11 その首は盆に載せられて運ばれ、少女に渡され、彼女はそれを母のもとに持って行った。
12 ヨハネの弟子たちが来て、遺体を取り、葬り、行ってイエシュアに知らせた。
13 イエシュアはそれを聞くと、そこから舟で、寂しい場所へ密かに退かれた。人々はそれを聞き、町々から徒歩で従って来た。
14 イエシュアは出て来て大勢の群衆を見ると、彼らを深く憐れみ、その病人たちをいやされた。
15 夕方になると、弟子たちが近づいて言った。「ここは寂しい場所で、もう時も過ぎています。群衆を解散させ、村々に行って自分たちで食物を買わせてください。」
16 イエシュアは彼らに言われた。「彼らが行く必要はない。あなたがたが彼らに食べさせなさい。」
17 弟子たちは言った。「ここには、パンが五つと魚が二匹しかありません。」
18 彼は言われた。「それをここへ持って来なさい。」
19 群衆に草の上に座るよう命じ、五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで祝福し、パンを裂いて弟子たちに渡された。弟子たちは群衆に渡した。
20 皆が食べて満ち足りた。残ったかけらを集めると、十二のかごいっぱいになった。
21 食べた者は、女と子どもを除いて、およそ五千人の男であった。
22 すぐに、イエシュアは弟子たちを強いて舟に乗せ、ご自分より先に向こう岸へ行かせ、その間に群衆を解散させられた。
23 群衆を解散させると、祈るために山へ密かに登られた。夕方になっても、彼はそこに一人でいた。
24 舟はすでに海の真ん中に出て、波に悩まされていた。風が向かい風だったからである。
25 夜の第四の見張りの頃、イエシュアは海の上を歩いて、彼らのところへ来られた。
26 弟子たちは、彼が海の上を歩いているのを見て、動揺して言った。「幽霊だ。」そして、恐怖のあまり叫んだ。
27 すぐに、イエシュアは彼らに語って言われた。「勇気を出しなさい。わたしである。恐れるな。」
28 ペトロが答えて言った。「イエシュアよ、あなたでしたら、水の上を歩いてあなたのところへ行くよう、私に命じてください。」
29 彼は言われた。「来なさい。」ペトロは舟から降り、水の上を歩いて、イエシュアのところへ行った。
30 しかし、強い風を見て恐くなり、沈みかけたので、叫んで言った。「イエシュアよ、私を救ってください。」
31 イエシュアはすぐに手を伸ばして彼をつかみ、言われた。「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか。」
32 彼らが舟に乗り込むと、風はやんだ。
33 舟の中にいた人々は来て、彼を礼拝して言った。「本当に、あなたはヤハウェの子です。」
34 彼らは渡って、ゲネサレトの地に着いた。
35 その場所の人々は彼だと知ると、周囲の地方全体に知らせ、病んでいる者を皆、彼のもとに連れて来た。
36 彼らは、彼の衣の房に触れるだけでもよいと願い、触れた者は皆、完全に健やかにされた。
第15章
1 その時、エルサレムから律法学者とファリサイ人がイエシュアのもとに来て言った。
2 「なぜ、あなたの弟子たちは長老たちの言い伝えを破るのですか。パンを食べるとき、手を洗わないのです。」
3 彼は答えて彼らに言われた。「なぜ、あなたがたも、自分たちの言い伝えによってヤハウェの戒めを破るのか。
4 ヤハウェは命じて言われた。『あなたの父と母を敬え。父や母をののしる者は、死をもって死ぬべきである。』
5 しかし、あなたがたは言う。『父や母に、あなたが私から受けるはずの助けは献げ物です、と言う者は、
6 その父や母を敬わなくてもよい。』このように、あなたがたは自分たちの言い伝えによってヤハウェの戒めを無効にした。
7 偽善者たちよ、イザヤはあなたがたについて、よく預言した。こう言っている。
8 『この民は口でわたしに近づき、唇でわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。
9 しかし、彼らがわたしを礼拝しても無駄である。人の戒めを教えとして教えているからである。』
10 彼は群衆を呼び寄せて言われた。「聞いて、理解しなさい。
11 口に入るものが人を汚すのではない。口から出るものが人を汚すのである。」
12 その時、弟子たちが来て彼に言った。「ファリサイ人がこの言葉を聞いてつまずいたことを、ご存じですか。」
13 彼は答えて言われた。「天におられるわたしの父が植えられなかった植物は、皆根こそぎにされる。
14 彼らを放っておきなさい。彼らは盲人の案内をする盲人である。盲人が盲人を案内すれば、二人とも穴に落ちる。」
15 ペトロが答えて彼に言った。「そのたとえを私たちに説明してください。」
16 イエシュアは言われた。「あなたがたも、まだ理解できないのか。
17 口に入るものはすべて腹に入り、厠に排出されることが、まだ分からないのか。
18 しかし、口から出るものは心から出て来る。それが人を汚す。
19 心から、悪い思い、殺人、姦淫、淫行、盗み、偽証、冒涜が出て来るからである。
20 これらが人を汚すものである。しかし、洗っていない手で食べることは、人を汚さない。」
21 イエシュアはそこを去って、ティルスとシドンの地方へ退かれた。
22 見よ、カナンの女がその地方から出て来て、叫んで言った。「イエシュアよ、ダビデの子よ、私を憐れんでください。娘が悪霊にひどく苦しめられています。」
23 しかし、彼は彼女に一言も答えなかった。弟子たちが来て願って言った。「彼女を帰してください。私たちの後ろで叫んでいるのです。」
24 彼は答えて言われた。「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外のところには遣わされていない。」
25 すると彼女が来て、彼を拝して言った。「イエシュアよ、私を助けてください。」
26 しかし彼は答えて言った。「子どもたちのパンを取って、犬に投げ与えるのは、よくない。」
27 彼女は言った。「そのとおりです、イエシュアよ。しかし、犬も主人の食卓から落ちるパン屑を食べるのです。」
28 するとイエシュアは答えて彼女に言った。「女よ、あなたの信仰は大いなるものである。あなたの願うとおりになるように。」その娘は、その時から癒された。
29 イエシュアはそこを去って、ガリラヤの海の近くに行き、山に上って、そこに座した。
30 大勢の群衆が、足が不自由な者、盲人、口がきけない者、体の不自由な者、その他多くの者を連れて、彼のところに来て、イエシュアの足元に置いた。彼は彼らを癒した。
31 こうして群衆は、口がきけない者が話し、体の不自由な者が健やかになり、足が不自由な者が歩き、盲人が見えるのを見て驚き、イスラエルのヤハウェをたたえた。
32 そこでイエシュアは弟子たちを呼び寄せて言った。「群衆がかわいそうである。彼らはすでに三日も私と共におり、食べる物がない。彼らを空腹のまま帰らせることは望まない。途中で弱り果てるかもしれないからである。」
33 弟子たちは彼に言った。「この荒野で、こんな大勢の群衆を満腹させるほどのパンが、どこから得られましょうか。」
34 イエシュアは彼らに言った。「パンは幾つあるか。」彼らは言った。「七つと、小さい魚が少しあります。」
35 彼は群衆に、地に座るように命じた。
36 そして七つのパンと魚を取り、感謝をささげて裂き、弟子たちに渡した。弟子たちは群衆に配った。
37 彼らはみな食べて満腹した。裂いた残りの屑を取り集めると、七つのかごにいっぱいになった。
38 食べたのは、女と子どもを除いて男が四千人であった。
39 彼は群衆を帰らせ、船に乗って、マグダラの地方に行った。
第16章
1 パリサイ人たちがサドカイ人たちと共に来て、彼を試して、天からのしるしを見せてほしいと求めた。
2 彼は答えて彼らに言った。「夕方になると、あなたがたは『晴れであろう。空が赤いから』と言う。
3 朝には、『今日は荒れ模様であろう。空が赤く曇っているから』と言う。偽善者たちよ、あなたがたは空の様子を見分けることはできるのに、時のしるしを見分けることはできないのか。
4 邪悪で姦淫の世代はしるしを求める。しかし、預言者ヨナのしるしのほかに、しるしは与えられない。」彼は彼らを残して去った。
5 弟子たちが向こう岸に着いたとき、彼らはパンを持って来るのを忘れていた。
6 そこでイエシュアは彼らに言った。「気をつけて、パリサイ人とサドカイ人のパン種に注意しなさい。」
7 彼らは互いに論じ合って言った。「パンを何も持って来なかったからだ。」
8 イエシュアはそれに気づいて彼らに言った。「信仰の薄い者たちよ、なぜパンを何も持って来なかったことで互いに論じ合っているのか。
9 あなたがたはまだ分からず、五千人の五つのパンと、幾つのかごを取り集めたかを覚えていないのか。
10 また四千人の七つのパンと、幾つのかごを取り集めたかも覚えていないのか。
11 私がパンについて言ったのではなく、パリサイ人とサドカイ人のパン種に注意するようにと言ったことが、なぜ分からないのか。」
12 そのとき彼らは、彼が注意するようにと言ったのはパンのパン種ではなく、パリサイ人とサドカイ人の教えであることが分かった。
13 イエシュアがフィリピ・カイサリアの地方に来たとき、弟子たちに尋ねて言った。「人々は、人の子である私を、だれだと言っているか。」
14 彼らは言った。「バプテスマのヨハネだと言う人たちもあり、エリヤだと言う人たちもあり、エレミヤ、あるいは預言者の一人だと言う人たちもあります。」
15 彼は彼らに言った。「では、あなたがたは、私をだれだと言うか。」
16 シモン・ペトロが答えて言った。「あなたはメシア、生きているヤハウェの子です。」
17 イエシュアは答えて彼に言った。「バルヨナ・シモン、あなたは幸いである。血肉があなたにこれを示したのではなく、天におられる私の父が示されたのである。
18 私もあなたに言う。あなたはペトロである。私はこの岩の上に私の教会を建てる。黄泉の門もそれに打ち勝つことはない。
19 私はあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地で結ぶことは何でも、天でも結ばれ、あなたが地で解くことは何でも、天でも解かれる。」
20 そのとき彼は、自分がイエシュア、すなわちメシアであることを、だれにも言わないように弟子たちに命じた。
21 その時からイエシュアは、ご自分がエルサレムに行って、長老たち、祭司長たち、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、三日目によみがえらなければならないことを弟子たちに示し始めた。
22 するとペトロが彼をわきへ引き寄せ、戒め始めて言った。「イエシュアよ、そのようなことがあってはなりません。そんなことは、決してあなたの身には起こりません。」
23 しかし彼は振り返ってペトロに言った。「サタンよ、私の後ろに下がれ。あなたは私の妨げである。あなたはヤハウェのことを思わず、人のことを思っている。」
24 そのときイエシュアは弟子たちに言った。「だれでも私について来たいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負って、私に従いなさい。
25 自分の命を救おうとする者は、それを失い、私のために自分の命を失う者は、それを見出すからである。
26 人が全世界を手に入れても、自分の魂を失えば、何の益があろうか。また、人は自分の魂の代償に何を与えることができようか。
27 人の子は、父の栄光のうちに、天使たちを伴って来て、そのとき、各人にその行いに応じて報いるからである。
28 まことにあなたがたに言う。ここに立っている者の中には、人の子がその国と共に来るのを見るまでは、決して死を味わわない者たちがいる。」
第17章
1 六日の後、イエシュアはペトロとヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に上った。
2 彼らの前でその姿が変えられた。その顔は太陽のように輝き、その衣は光のように白くなった。
3 見よ、モーセとエリヤが現れて、彼と語り合っていた。
4 ペトロが答えてイエシュアに言った。「イエシュアよ、私たちがここにいることは、なんと素晴らしいことでしょう。お望みなら、ここに幕屋を三つ作りましょう。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つです。」
5 彼がまだ話しているうちに、見よ、輝く雲が彼らを覆った。見よ、雲から声がして言った。「これは私の愛する子、私の心にかなう者である。彼の言うことを聞きなさい。」
6 弟子たちはこれを聞いて、ひれ伏し、非常に恐れた。
7 イエシュアは近寄って彼らに触れて言った。「起きなさい。恐れることはない。」
8 彼らが目を上げると、イエシュアのほか、だれも見えなかった。
9 彼らが山を下るとき、イエシュアは彼らに命じて言った。「人の子が死人の中からよみがえるまでは、この幻をだれにも話してはならない。」
10 弟子たちは彼に尋ねて言った。「では、なぜ律法学者たちは、エリヤがまず来なければならないと言うのですか。」
11 イエシュアは答えて彼らに言った。「確かにエリヤがまず来て、すべてのことを回復する。
12 しかし私はあなたがたに言う。エリヤはすでに来たのである。しかし人々は彼を知らず、思いのままに彼を扱った。人の子もまた、彼らから同じように苦しみを受けるのである。」
13 そのとき弟子たちは、彼がバプテスマのヨハネについて話したことが分かった。
14 彼らが群衆のところに来ると、一人の男が彼のところに来て、ひざまずいて言った。
15 「イエシュアよ、私の息子を憐れんでください。てんかんに苦しみ、大変な目にあっています。たびたび火の中に、たびたび水の中に倒れるのです。
16 弟子たちのところに連れて来ましたが、彼らは癒すことができませんでした。」
17 イエシュアは答えて言った。「信仰がなく、よこしまな世代よ、いつまであなたがたと一緒にいなければならないのか。いつまであなたがたに耐えなければならないのか。彼をここへ、私のところに連れて来なさい。」
18 イエシュアは悪霊を戒めた。すると悪霊は彼から出て行き、その子はその時から癒された。
19 そのとき弟子たちが、ひそかにイエシュアのところに来て言った。「なぜ私たちには追い出すことができなかったのですか。」
20 イエシュアは彼らに言った。「あなたがたの信仰のなさのゆえである。まことにあなたがたに言う。もしあなたがたに、からし種ほどの信仰があれば、この山に、『ここからあそこに移れ』と言えば、移るであろう。あなたがたにできないことは何もない。
21 しかし、この類は、祈りと断食によらなければ出て行かない。」
22 彼らがガリラヤにとどまっていたとき、イエシュアは彼らに言った。「人の子は、人々の手に渡されようとしている。
23 彼らは彼を殺すであろう。そして三日目に、彼はよみがえらされる。」弟子たちは非常に悲しんだ。
24 彼らがカペナウムに着いたとき、神殿税を集める者たちがペトロのところに来て言った。「あなたがたの先生は、神殿税を納めないのか。」
25 彼は言った。「納めます。」彼が家に入ると、イエシュアが先に言った。「シモン、あなたはどう思うか。地の王たちは、関税や税を、だれから取り立てるのか。自分の子どもたちからか、それとも他人からか。」
26 ペトロは彼に言った。「他人からです。」イエシュアは彼に言った。「では、子どもたちは免れされるのである。
27 しかし、彼らを妨げないために、海に行って釣り針を投げ、最初に上がった魚を取れ。その口を開けると、銀貨一枚が見つかるであろう。それを取って、私のためとあなたのためとに、彼らに渡しなさい。」
第18章
1 そのとき弟子たちがイエシュアのところに来て言った。「天の国では、だれが一番大きいのですか。」
2 イエシュアは小さな子どもを呼び寄せ、彼らの真ん中に立たせて、
3 言った。「まことにあなたがたに言う。立ち帰って、幼子のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。
4 それゆえ、この幼子のようにへりくだる者が、天の国で一番大きいのである。
5 私の名によって、このような幼子を一人でも受け入れる者は、私を受け入れるのである。
6 しかし、私を信じるこれらの小さい者の一人でもつまずかせる者は、その首に大きな石臼をかけられ、海の深みに沈められたほうが、その者のためによい。
7 つまずきのゆえに、世は災いである。つまずきが来るのは避けられない。しかし、そのつまずきをもたらす者は災いである。
8 それゆえ、あなたの手や足があなたをつまずかせるなら、それを切り取って捨て去れ。両手や両足がありながら永遠の火に投げ込まれるより、手や足が不自由なままで命に入るほうが、あなたにとってよい。
9 あなたの目があなたをつまずかせるなら、それを摘み取って捨て去れ。両目がありながら地獄の火に投げ込まれるより、片目のままで命に入るほうが、あなたにとってよい。
10 これらの小さい者の一人でも軽んじないよう気をつけなさい。あなたがたに言う。彼らの天使たちは天にあって、天におられる私の父の御顔をいつも見ているのである。
11 人の子は、失われたものを救うために来たからである。
12 あなたがたはどう思うか。ある人が羊を百匹持っていて、その中の一匹が迷い出たら、九十九匹を残して山に行き、迷い出たその一匹を捜しに行かないであろうか。
13 そして、もしそれが見つかれば、まことにあなたがたに言う。彼は迷わなかった九十九匹のことでよりも、その一匹のことで喜ぶのである。
14 そのように、これらの小さい者の一人が滅びることは、天におられるあなたがたの父の御心ではない。
15 加えて、あなたの兄弟があなたに対して罪を犯したら、行って、あなたとその人だけのところで、その過ちを示しなさい。もし彼が聞き入れるなら、あなたはあなたの兄弟を得たのである。
16 しかし、彼が聞き入れなければ、ほかに一人か二人を連れて行け。二人か三人の証人の口によって、すべての言葉が確かめられるためである。
17 もし彼らにも聞き入れなければ、教会に告げなさい。教会にも聞き入れなければ、その人を異邦人や収税人と同じように扱いなさい。
18 まことにあなたがたに言う。あなたがたが地で結ぶことは何でも、天でも結ばれ、あなたがたが地で解くことは何でも、天でも解かれる。
19 また、まことにあなたがたに言う。あなたがたのうち二人が、地で何事を願うにも心を合わせるなら、天におられる私の父は、それをかなえてくださる。
20 二人か三人が私の名によって集まるところには、私もその真ん中にいるからである。」
21 そのときペトロが彼のところに来て言った。「イエシュアよ、私の兄弟が私に対して罪を犯した場合、何回まで赦すべきですか。七回までですか。」
22 イエシュアは彼に言った。「私はあなたに、七回までとは言わない。七を七十倍するまでである。
23 それゆえ、天の国は、しもべたちと清算しようとした、ある王のようである。
24 王が清算を始めると、一万タラントの負債のある者が、彼のところに連れて来られた。
25 しかし、彼には返すことができなかったので、その主人は、彼と、その妻と子どもたちと、彼の持っているすべてのものを売って、返済するように命じた。
26 そこでそのしもべはひれ伏して、彼を拝して言った。「ご主人様、どうか私を忍耐してください。すべてお返しします。」
27 そのしもべの主人は憐れに思い、彼を解放し、その負債を赦した。
28 しかし、そのしもべが出て行くと、百デナリの負債のある同僚の一人に出会った。彼はその人を捕まえ、喉をつかんで言った。「負債を返せ。」
29 その同僚は彼の足元にひれ伏して、嘆願して言った。「どうか私を忍耐してください。すべてお返しします。」
30 彼は応じず、行って、負債を返すまでその人を牢に投げ入れた。
31 同僚たちは、事の成り行きを見て非常に悲しみ、来て、起こったすべてのことを主人に告げた。
32 そこで主人は彼を呼び寄せて言った。「悪いしもべよ、私はあなたにあの負債をすべて赦したではないか。あなたが私に願ったからである。
33 私があなたを憐れんだように、あなたも同僚を憐れまなければならなかったのではないか。」
34 主人は怒って、負債をすべて返すまで、その人を拷問する者たちに引き渡した。
35 あなたがたも、心から、各自が兄弟の過ちを赦さなければ、天におられる私の父も、同じようにあなたがたになさるであろう。」
第19章
1 イエシュアがこれらの言葉を語り終えたとき、ガリラヤを去り、ヨルダンの向こう側のユダヤの地方に来た。
2 大勢の群衆が彼に従い、彼はそこで彼らを癒した。
3 パリサイ人たちも彼のところに来て、彼を試して言った。「人が、どのような理由ででも、自分の妻を離縁することは、律法にかなっているのですか。」
4 彼は答えて彼らに言った。「あなたがたは読んだことがないのか。初めに造られた方は、彼らを男と女とに造られたのであり、
5 そして言われた。『それゆえ人は、父と母を離れ、自分の妻と結ばれ、二人は一体となる。』
6 それゆえ、彼らはもはや二人ではなく、一体である。それゆえ、ヤハウェが合わせたものを、人が分けてはならない。」
7 彼らは彼に言った。「では、なぜモーセは、離縁状を与えて妻を離縁するように命じたのですか。」
8 彼は彼らに言った。「モーセは、あなたがたの心のかたくなさのゆえに、妻を離縁することを許した。しかし、初めからそうではなかった。
9 私はあなたがたに言う。不品行のゆえでなく自分の妻を離縁して、ほかの女と結婚する者は、姦淫を行い、離縁された女と結婚する者も、姦淫を行うのである。」
10 弟子たちは彼に言った。「妻に対する人の事情が、そのようなものなら、結婚しないほうがよい。」
11 彼は彼らに言った。「すべての人がこの言葉を受け入れるわけではない。ただ、与えられた人たちだけである。
12 母の胎からそのように生まれた宦官もおり、人によって宦官にされた者もおり、天の国のために自ら宦官になった者もいる。これを受け入れることができる者は、受け入れなさい。」
13 そのとき人々は、彼が手を置いて祈ってくれるようにと、小さな子どもたちを彼のところに連れて来た。弟子たちは彼らを叱った。
14 しかしイエシュアは言った。「幼子たちをそのままにし、私のところに来るのを止めてはならない。天の国は、このような者たちのものだからである。」
15 彼は彼らに手を置いて、そこを去った。
16 見よ、一人の人が彼のところに来て言った。「善い先生よ、永遠の命を得るためには、私はどのような善いことをすればよいのですか。」
17 彼はその人に言った。「なぜ私を善いと言うのか。善い方は、ただ一人、ヤハウェだけである。しかし、命に入りたいと思うなら、戒めを守りなさい。」
18 その人は彼に言った。「どの戒めですか。」イエシュアは言った。「殺してはならない、姦淫してはならない、盗んではならない、偽りの証言をしてはならない、
19 父と母を敬え、あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。」
20 その青年は彼に言った。「私はそのすべてを、若いときから守ってきました。まだ私に欠けていることは何ですか。」
21 イエシュアは彼に言った。「完全になりたいと思うなら、行って、あなたの持っているものを売り、貧しい人たちに与えなさい。そうすれば、あなたは天に宝を持つであろう。そして来て、私に従いなさい。」
22 しかし青年はその言葉を聞くと、悲しみながら立ち去った。多くの財産を持っていたからである。
23 そこでイエシュアは弟子たちに言った。「まことにあなたがたに言う。富んでいる者が天の国に入ることは、難しい。
24 またあなたがたに言う。富んでいる者がヤハウェの国に入るより、ラクダが針の穴を通るほうが易しい。」
25 弟子たちはこれを聞いて非常におどろいて言った。「それでは、だれが救われることができるのですか。」
26 イエシュアは彼らを見つめて言った。「人にはそれはできない。しかしヤハウェには、すべてのことができる。」
27 そこでペトロが答えて彼に言った。「見てください、私たちはすべてを捨てて、あなたに従いました。それでは私たちは、何を得るのですか。」
28 イエシュアは彼らに言った。「まことにあなたがたに言う。新しい世において、人の子が栄光の座に着くとき、私に従って来たあなたがたも、十二の座に着いて、イスラエルの十二部族を裁くであろう。
29 また、私の名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、妻、子ども、あるいは土地を捨てた者はすべて、それを百倍にして受け、永遠の命を受け継ぐであろう。
30 しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。」
第20章
1 天の国は、ぶどう園に働き人を雇うために、朝早く出かけて行った家の主人のようである。
2 彼は働き人たちと、一日一デナリで合意して、彼らをぶどう園に送った。
3 彼は第三時ごろに出かけて行くと、市場でぶらぶら立っている、ほかの人たちを見た。
4 彼は彼らに言った。「あなたがたもぶどう園に行きなさい。正当なものは与えよう。」彼らは行った。
5 彼はまた第六時と第九時ごろに出かけて行き、同じようにした。
6 彼は第十一時ごろに出かけて行き、ほかにも立っている人たちを見つけて、彼らに言った。「なぜあなたがたは一日中ここに、ぶらぶら立っているのか。」
7 彼らは彼に言った。「だれも私たちを雇わないからです。」彼は彼らに言った。「あなたがたもぶどう園に行きなさい。正当なものを受けるであろう。」
8 夕方になると、ぶどう園の主人は管理人に言った。「働き人たちを呼んで、最後の者から最初の者まで、賃金を渡しなさい。」
9 第十一時ごろに雇われた者たちが来て、一人一デナリずつ受け取った。
10 最初の者たちが来たとき、自分たちはもっと多く受けるだろうと思っていた。しかし、彼らも一人一デナリずつ受け取った。
11 彼らは受け取ると、家の主人に対して不平を言って、
12 言った。「この最後の者たちは一時間しか働かなかったのに、あなたは、昼の重荷と暑さを耐えた私たちと、彼らを同じにしました。」
13 しかし彼はその一人に答えて言った。「友よ、私はあなたに不正はしていない。あなたは私と一デナリで合意したではないか。
14 あなたのものを持って帰りなさい。私はこの最後の者に、あなたと同じだけ与えたいのである。
15 私のもので、私のしたいことをするのは、許されないことか。私が善いことのゆえに、あなたの目は悪いのか。」
16 このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。招かれる者は多いが、選ばれる者は少ないからである。」
17 イエシュアはエルサレムに上る途中、十二人の弟子をわきへ連れて行き、彼らに言った。
18 「見よ、私たちはエルサレムに上る。人の子は、祭司長たちと律法学者たちに渡される。彼らは彼を死刑に定め、
19 異邦人に渡し、あざ笑わせ、むち打ち、十字架につけるであろう。そして三日目に、彼はよみがえらされる。」
20 そのときゼベダイの子どもたちの母が、その息子たちを連れて彼のところに来て、ひれ伏して、あることを願った。
21 彼は彼女に言った。「何を願うのか。」彼女は彼に言った。「私のこの二人の息子が、あなたの御国で、一人はあなたの右に、一人は左に座ることができるように、おっしゃってください。」
22 しかしイエシュアは答えて言った。「あなたがたは、自分が何を願っているのか分かっていない。私が飲もうとしている杯を飲み、私が受けようとしている洗礼を受けることができるか。」彼らは彼に言った。「できます。」
23 彼は彼らに言った。「あなたがたは確かに私の杯を飲み、私が受けようとしている洗礼を受けるであろう。しかし、私の右と左に座ることは、私が与えることではない。それは、私の父が備えた者たちに与えられるのである。」
24 十人の弟子たちはこれを聞くと、二人の兄弟に対して憤った。
25 しかしイエシュアは彼らを呼び寄せて言った。「あなたがたが知っているとおり、異邦人の支配者たちはその民を支配し、偉い人たちはその民に権力をふるう。
26 しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。あなたがたの中で大きい者になりたい者は、あなたがたの召使いとなり、
27 あなたがたの中で筆頭者になりたい者は、あなたがたのしもべとなりなさい。
28 人の子が仕えられるためにではなく、仕えるために、また多くの人の身代金として自分の命を与えるために来たのと同じである。」
29 彼らがエリコを出て行くと、大勢の群衆が彼に従った。
30 見よ、道ばたに座っていた二人の盲人が、イエシュアが通り過ぎると聞いて、叫んで言った。「ダビデの子イエシュアよ、私たちを憐れんでください。」
31 群衆は彼らを黙らせようと叱った。しかし彼らは、ますます叫んで言った。「イエシュアよ、ダビデの子よ、私たちを憐れんでください。」
32 イエシュアは立ち止まり、彼らを呼んで言った。「私にどうしてほしいのか。」
33 彼らは彼に言った。「イエシュアよ、私たちの目が開かれることです。」
34 イエシュアは憐れに思い、彼らの目に触れた。すると直ちに彼らの目は見えるようになり、彼らは彼に従った。
第21章
1 彼らがエルサレムに近づき、オリーブ山のベツファゲに来たとき、イエシュアは二人の弟子を遣わして、
2 彼らに言った。「向かい側の村に行きなさい。すると直ちに、つながれたロバと、そのそばに子ロバが見つかるであろう。それらを解いて、私のところに連れて来なさい。
3 もしだれかがあなたがたに何か言うなら、『イエシュアがそれらを必要としている』と言いなさい。すると直ちに、その人はそれらを送るであろう。」
4 このすべてのことは、預言者を通して語られたことが成就するためであった。こう言われている。
5 「シオンの娘に告げよ。見よ、あなたの王があなたのところに来る。柔和で、ロバに乗り、子ロバ、すなわち荷を負う獣の子に乗って来る。」
6 弟子たちは行って、イエシュアが命じたとおりにした。
7 彼らはロバと子ロバを連れて来て、その上に自分たちの服を置いた。彼らは彼をその上に乗せた。
8 非常に大勢の群衆は、自分の服を道に敷いた。ほかの人たちは木から枝を切り取って、道に敷いた。
9 前を行く群衆も、後に従う群衆も、叫んで言った。「ホサナ、ダビデの子に。イエシュアの名によって来る方は、祝福される。いと高きところに、ホサナ。」
10 彼がエルサレムに入ると、都全体が騒いで言った。「これはだれか。」
11 群衆は言った。「これは、ガリラヤのナザレの預言者イエシュアである。」
12 イエシュアはヤハウェの神殿に入り、神殿で売り買いしていたすべての者を追い出し、両替人の台と、鳩を売る者たちの座を倒した。
13 そして彼らに言った。「『私の家は、祈りの家と呼ばれる』と書いてある。しかしあなたがたは、それを強盗の巣にしてしまった。」
14 神殿で、盲人と足が不自由な者たちが彼のところに来た。彼は彼らを癒した。
15 しかし祭司長たちと律法学者たちは、彼が行った不思議なことと、神殿で叫んで「ホサナ、ダビデの子に」と言っている子どもたちを見て、憤って、
16 彼に言った。「これらの者の言っていることが聞こえるか。」イエシュアは彼らに言った。「ああ。あなたがたは読んだことがないのか。『幼子と乳飲み子の口から、あなたは賛美を備えられた』と。」
17 彼は彼らを残して、都を出てベタニヤに行き、そこで夜を過ごした。
18 朝、彼が都に帰るとき、空腹になった。
19 彼は道ばたに一本のイチジクの木を見て、その近くに行ったが、葉のほかに何も見つからなかった。彼はそれに言った。「もはや永久に、あなたに実が生らないように。」すると直ちに、イチジクの木は枯れた。
20 弟子たちはそれを見て驚いて言った。「どうして直ちにイチジクの木が枯れたのですか。」
21 イエシュアは答えて彼らに言った。「まことにあなたがたに言う。もしあなたがたに信仰があり、疑わないなら、イチジクの木になされたことだけでなく、この山に『取り除かれて、海に投げ込まれよ』と言えば、そのとおりになる。
22 また、あなたがたが信じて祈りの中で願うことは、すべて受けるであろう。」
23 彼が神殿に来ると、彼が教えているときに、祭司長たちと民の長老たちが彼のところに来て言った。「何の権威によって、あなたはこれらのことをするのか。また、だれがあなたにこの権威を与えたのか。」
24 イエシュアは答えて彼らに言った。「私も一つあなたがたに尋ねる。それを私に言うなら、私も何の権威によってこれらのことをするのかをあなたがたに言おう。
25 ヨハネの洗礼は、どこからであったか。天からか、人からか。」彼らは互いに論じて言った。「もし『天から』と言えば、彼は私たちに、『では、なぜ彼を信じなかったのか』と言うであろう。
26 しかし、もし『人から』と言えば、民を恐れる。すべての人がヨハネを預言者と思っているからである。」
27 彼らはイエシュアに答えて言った。「分かりません。」彼は彼らに言った。「私も、何の権威によってこれらのことをするのかを、あなたがたに言わない。」
28 「しかし、あなたがたはどう思うか。ある人に二人の息子がいた。彼は最初の息子に来て言った。『子よ、今日行って、私のぶどう園で働きなさい。』
29 彼は答えて言った。『行きたくありません』。しかし後に悔いて、行った。
30 彼は第二の息子に来て、同じように言った。その息子は答えて言った。『父よ、行きます』。しかし行かなかった。
31 二人のうち、どちらが父の願いを行ったか。」彼らは彼に言った。「最初の息子です。」イエシュアは彼らに言った。「まことにあなたがたに言う。収税人たちと遊女たちが、あなたがたより先にヤハウェの国に入る。
32 ヨハネは義の道をもってあなたがたのところに来たが、あなたがたは彼を信じなかった。しかし収税人たちと遊女たちは彼を信じた。あなたがたはそれを見ても、後になって悔い改めて、彼を信じようとはしなかった。」
33 「もう一つのたとえを聞きなさい。ある家の主人がいた。彼はぶどう園を作り、垣根で囲み、その中に酒ぶねの穴を掘り、塔を建て、農夫たちに貸して、遠い国に出かけた。
34 実りの季節が近づくと、彼はしもべたちを農夫たちのところに遣わし、その実を受け取らせようとした。
35 農夫たちは彼のしもべたちを捕まえ、一人を打ち叩き、一人を殺し、一人を石で打った。
36 彼は再び、最初のときより多くの、ほかのしもべたちを遣わした。彼らも同じように扱われた。
37 しかし彼は最後に、自分の息子を彼らのところに遣わして言った。『彼らは私の息子を敬うであろう。』
38 しかし農夫たちは、その息子を見て互いに言った。『これは相続人だ。さあ、彼を殺して、その相続分を手に入れよう。』
39 彼らは彼を捕まえ、ぶどう園の外に追い出し、殺した。
40 それゆえ、ぶどう園の主人が来るとき、それらの農夫たちにどうするであろうか。」
41 彼らは彼に言った。「彼は、それらの悪い者たちを惨めに滅ぼし、そのぶどう園を、季節に実を渡すほかの農夫たちに貸すであろう。」
42 イエシュアは彼らに言った。「あなたがたは聖書で読んだことがないのか。『家を建てる者たちが捨てた石、その石が隅の頭石となった。これはヤハウェのなさったことであり、私たちの目には不思議なことである。』
43 それゆえ、私はあなたがたに言う。ヤハウェの国はあなたがたから取り去られ、その実を結ぶ国民に与えられる。
44 この石の上に倒れる者は、砕かれ、この石がだれかの上に倒れれば、その者を粉々に砕くであろう。」
45 祭司長たちとパリサイ人たちは、彼のたとえを聞くと、彼が自分たちについて言ったことが分かった。
46 彼らは彼を捕まえようとしたが、群衆を恐れた。群衆が彼を預言者と思っていたからである。
第22章
1 イエシュアは再び答えて、たとえをもって彼らに話して言った。
2 「天の国は、自分の息子のために婚宴を開いた、ある王のようである。
3 彼は招かれていた者たちを婚宴に呼ぶために、しもべたちを遣わした。しかし彼らは来ようとしなかった。
4 再び彼は、ほかのしもべたちを遣わして言った。『招かれている者たちに言え。見よ、私は食事を用意した。私の雄牛と肥えた家畜はほふられ、すべてのものは整っている。婚宴に来なさい。』
5 しかし彼らはそれを軽んじて、一人は自分の畑に、一人は自分の商売に出て行き、
6 残りの者たちは、彼のしもべたちを捕まえて、乱暴に扱い、殺した。
7 しかし王はそれを聞いて怒り、軍隊を送って、それらの殺人者たちを滅ぼし、彼らの町を焼き払った。
8 そこで彼はしもべたちに言った。『婚宴は整っているが、招かれていた者たちはふさわしくなかった。
9 それゆえ、大路に行って、見つける限りの人を婚宴に招きなさい。』
10 それらのしもべたちは大路に出て行き、見つけたすべての人、悪い人も善い人も、集めた。婚宴は客でいっぱいになった。
11 王が客を見ようと入って来ると、そこに婚宴の服を着ていない男を見た。
12 彼はその人に言った。『友よ、どうして婚宴の服を着ずにここに入って来たのか。』その人は黙っていた。
13 そこで王は召使いたちに言った。『彼の手足を縛って、連れ去り、外の暗闇に投げ込め。そこで嘆きと歯ぎしりがあるであろう。』
14 招かれる者は多いが、選ばれる者は少ないからである。」
15 そのときパリサイ人たちは行き、その言葉じりをとらえて陥れるにはどうすればよいかと、相談した。
16 彼らは弟子たちをヘロデ派の者たちと共に彼のところに遣わして、言った。「先生、私たちは、あなたが真実であり、真理をもってヤハウェの道を教え、だれをもはばからないことを知っています。あなたは人の顔色を見ないからです。
17 それゆえ、私たちに教えてください。あなたはどう思いますか。カエサルに税を納めることは、律法にかなっていますか、いけませんか。」
18 しかしイエシュアは、彼らの邪悪さを見抜いて言った。「偽善者たちよ、なぜ私を試すのか。
19 税の金を私に見せなさい。」彼らは一デナリを彼のところに持って来た。
20 彼は彼らに言った。「これはだれの像と銘か。」
21 彼らは彼に言った。「カエサルのものです。」そこで彼は彼らに言った。「それゆえ、カエサルのものはカエサルに、ヤハウェのものはヤハウェに返しなさい。」
22 彼らはこれらの言葉を聞くと驚き、彼を残して立ち去った。
23 その日、復活はないと言うサドカイ人たちが彼のところに来て、彼に尋ねて、
24 言った。「先生、モーセは言いました。『人が子なく死ねば、その兄弟がその妻と結婚し、自分の兄弟のために子孫を起こさなければならない。』
25 私たちの中に、七人の兄弟がいました。長男は妻を迎えたが、亡くなり、子孫がなかったので、その妻を兄弟に残しました。
26 二番目も同様であり、三番目も、七番目まで同様でした。
27 最後に、その女も死にました。
28 それゆえ復活において、彼女は七人のうち、だれの妻なのでしょうか。彼らはみな、彼女を持ったのですから。」
29 イエシュアは答えて彼らに言った。「あなたがたは間違っている。聖書も、ヤハウェの力も、知らないからである。
30 復活においては、人は娶ることも嫁ぐこともなく、天にあるヤハウェの天使たちのようである。
31 しかし、死者の復活については、ヤハウェによってあなたがたに語られたことを読んだことがないのか。こう言われている。
32 「わたしはアブラハムのヤハウェ、イサクのヤハウェ、ヤコブのヤハウェである」。ヤハウェは死者のものではなく、生者のヤハウェである。
33 群衆はこれを聞いて、彼の教えに驚いた。
34 しかしパリサイ人は、彼がサドカイ人を黙らせたと聞いて、一緒に集まった。
35 そのうちの一人、律法の専門家が、彼を試そうとして質問し、言った。
36 「先生、律法の中で、どの戒めが大切なのですか。」
37 イエシュアは彼に言った。「あなたの心を尽くし、あなたの魂を尽くし、あなたの思いを尽くして、ヤハウェを愛しなさい。
38 これが第一の、大切な戒めである。
39 第二もこれと同様である。あなたはあなたの隣人を、あなた自身のように愛しなさい。
40 これら二つの戒めに、律法全体と預言者たちが懸かっている。
41 パリサイ人が集まっているとき、イエシュアは彼らに尋ねた。
42 こう言って。「あなたがたはメシアについてどう思うか。彼は誰の子か。」彼らは彼に言った。「ダビデの子です。」
43 彼は彼らに言った。「それではどうしてダビデは、霊において、彼をイエシュアと呼んで、こう言うのか。
44 『ヤハウェはわたしのイエシュアに言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座していなさい」と。』」
45 もしダビデが彼をイエシュアと呼ぶなら、どうして彼はダビデの子なのか。」
46 誰も彼に一言も答えることができなかった。その日から、誰もあえて彼にそれ以上質問しようとはしなかった。
第23章
1 それからイエシュアは群衆と弟子たちに語って、
2 言った。「律法学者とパリサイ人はモーセの座に着いている。
3 それゆえ、彼らがあなたがたに守るように命じることはすべて守り、行いなさい。しかし彼らの行いにならってはならない。彼らは言うだけで、行わないからである。
4 彼らは重い、担い難い荷を束ねて人々の肩に置くが、自分では指一本でそれを動かそうともしない。
5 彼らの行いはすべて、人々に見られるためである。彼らは経札を広くし、衣の房を大きくする。
6 宴席の上座と、会堂の最前列の席を好み、
7 市場での挨拶と、人々からラビ、ラビと呼ばれることを好む。
8 しかしあなたがたはラビと呼ばれてはならない。あなたがたの先生は一人、すなわちメシアであり、あなたがたは皆兄弟である。
9 地上にいる誰をも、あなたがたの父と呼んではならない。あなたがたの父は一人、天におられる方である。
10 また、指導者と呼ばれてはならない。あなたがたの指導者は一人、すなわちメシアである。
11 あなたがたの中で最も偉い者は、あなたがたの仕える者でなければならない。
12 自分を高める者は誰でも低くされ、自分を低くする者は誰でも高められるであろう。
13 しかし、律法学者、パリサイ人、偽善者たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたは人々に対して天の御国を閉ざしている。あなたがた自身も入らず、入ろうとする者たちを入らせもしないからである。
14 律法学者、パリサイ人、偽善者たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたはやもめの家を食い尽くし、見せかけに長い祈りをする。それゆえ、あなたがたはより重い断罪を受けるであろう。
15 律法学者、パリサイ人、偽善者たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたは一人の改宗者を作るために海と陸を巡り歩き、彼がそうなると、彼を自分たちよりも二倍も地獄の子とする。
16 盲目の案内人たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたは言う。「神殿によって誓う者は無効である。しかし神殿の金によって誓う者は、束縛される」と。
17 愚かで盲目な者たちよ。どちらが偉大か。金か、それともその金を聖別する神殿か。
18 また、「祭壇によって誓う者は無効である。しかしその上の供え物によって誓う者は有罪である」と。
19 愚かで盲目な者たちよ。どちらが偉大か。供え物か、それとも供え物を聖別する祭壇か。
20 それゆえ、祭壇によって誓う者は、それと、その上にあるすべてのものによって誓うのである。
21 神殿によって誓う者は、それと、その中に住む方によって誓うのである。
22 天によって誓う者は、ヤハウェの玉座と、それに座しておられる方によって誓うのである。
23 律法学者、パリサイ人、偽善者たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたははっか、いのんど、クミンの十分の一を納めながら、律法のより重い事柄、すなわち裁き、憐れみ、信仰をなおざりにしている。これらは行うべきであり、他のこともなおざりにしてはならなかった。
24 盲目の案内人たちよ、あなたがたはぶよを漉し出して、らくだを飲み込む。
25 律法学者、パリサイ人、偽善者たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたは杯と皿の外側を清めるが、内側は強奪と放縦に満ちている。
26 盲目のパリサイ人よ、まず杯と皿の内側を清めなさい。そうすれば外側も清くなるであろう。
27 律法学者、パリサイ人、偽善者たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死者の骨とあらゆる汚れに満ちている。
28 そのようにあなたがたも、外側は人々に正しく見えるが、内側は偽善と不法に満ちている。
29 律法学者、パリサイ人、偽善者たちよ、あなたがたは災いである。あなたがたは預言者の墓を建て、正しい人々の記念碑を飾り、
30 言う。「もしわたしたちが先祖の時代に生きていたなら、預言者の血において彼らに与することはなかったであろう」と。
31 それゆえあなたがたは、自分たちが預言者を殺した者たちの子であることを、自分で証ししている。
32 あなたがたも、あなたがたの先祖の枡を満たしなさい。
33 蛇たち、まむしの子孫よ、どうして地獄の断罪を逃れることができようか。
34 それゆえ見よ、わたしはあなたがたに預言者、知者、律法学者を遣わす。あなたがたはそのうちのある者を殺して十字架につけ、ある者を会堂で鞭打ち、町から町へと迫害するであろう。
35 それは、正しいアベルの血から、あなたがたが神殿と祭壇の間で殺したバラキヤの子ゼカリヤの血に至るまで、地の上に流されたすべての正しい血が、あなたがたの上に来るためである。
36 まことに、あなたがたに言う。これらのことはすべて、この世代の上に来るであろう。
37 エルサレム、エルサレム、預言者を殺し、あなたのもとに遣わされた者たちを石で打つ者よ。わたしはしばしば、雌鶏がひなを翼の下に集めるように、あなたの子らを集めようとした。しかしあなたがたは望まなかった。
38 見よ、あなたがたの家はあなたがたに荒廃したまま残される。
39 わたしはあなたがたに言う。あなたがたが「イエシュアの名によって来る者は祝福されよ」と言うまで、あなたがたは今からわたしを見ることはないであろう。
第24章
1 イエシュアは出て行って神殿を去った。弟子たちは神殿の建物を彼に見せようとして彼のもとに来た。
2 イエシュアは彼らに言った。「あなたがたはこれらすべてのものを見ないか。まことに、あなたがたに言う。ここには、崩されない石が石の上に残されることは決してないであろう。」
3 彼がオリーブ山に座していると、弟子たちがひそかに彼のもとに来て言った。「わたしたちに教えてください。これらのことはいつ起こるのですか。あなたの来臨と世の終わりの印は何ですか。」
4 イエシュアは答えて彼らに言った。「誰にも欺かれないように注意しなさい。
5 多くの者がわたしの名によって来て、『わたしはメシアである』と言い、多くの者を欺くからである。
6 あなたがたは戦争とうわさを聞くであろう。動揺しないようにしなさい。これらのことはすべて必ず起こらなければならないが、終わりはまだである。
7 民は民に、国は国に敵対して立ち上がる。また、至る所に飢饉と疫病と地震があるであろう。
8 これらすべてのことは、産みの苦しみの始まりである。
9 そのとき、人々はあなたがたを苦しみに渡し、あなたがたを殺すであろう。あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての民に憎まれるであろう。
10 そのとき、多くの者がつまずき、互いに裏切り、互いに憎み合うであろう。
11 多くの偽預言者が現れて、多くの者を欺くであろう。
12 不法が増すので、多くの者の愛は冷えるであろう。
13 しかし、最後まで耐え忍ぶ者、その者が救われるであろう。
14 この御国の福音は、すべての民への証しとして、全世界に宣べ伝えられる。それから終わりが来るであろう。
15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られた荒廃の憎悪すべきものが、聖なる場所に立っているのをあなたがたが見るとき、(読む者は理解しなさい。)
16 そのとき、ユダヤにいる者たちは山へ逃げなさい。
17 屋上にいる者は、家から何かを取り出すために降りてこないようにしなさい。
18 畑にいる者は、衣服を取りに戻ってはならない。
19 その日々に子を宿している者たちと、乳を飲ませている者たちは災いである。
20 あなたがたの逃避が冬にも、安息日にもならないように祈りなさい。
21 そのとき、世の初めから今に至るまでなかったような、また今後も決してないような大いなる苦難があるからである。
22 その日々が短くされなければ、肉なる者は誰も救われないであろう。しかし選ばれた者たちのために、その日々は短くされるであろう。
23 そのとき、誰かがあなたがたに『見よ、ここにメシアがいる』、あるいは『そこに』と言っても、信じてはならない。
24 偽メシアたちと偽預言者たちが現れ、大いなる印と不思議を行い、できれば選ばれた者たちさえ欺くほどであるからである。
25 見よ、わたしは前もってあなたがたに告げた。
26 それゆえ、人々があなたがたに『見よ、彼は荒野にいる』と言っても、出て行ってはならない。『見よ、彼は奥の部屋にいる』と言っても、信じてはならない。
27 いなずまが東から出て西にまで輝くように、人の子の来臨もそのようである。
28 死骸のある所には、そこに鷲が集まるであろう。
29 その日々の苦難の直後、太陽は暗くなり、月はその光を放たず、星は天から落ち、天の力は揺り動かされるであろう。
30 そのとき、人の子の印が天に現れる。そのとき、地のすべての部族は哀しみ、人の子が力と大いなる栄光をもって天の雲に乗って来るのを見るであろう。
31 彼は大きなラッパの音と共に自分の天使たちを遣わす。彼らは天の一方の端から他方の端まで、四方の風から彼の選ばれた者たちを集めるであろう。
32 いちじくの木からたとえを学びなさい。その枝が柔らかくなって葉を出すと、あなたがたは夏が近いことを知る。
33 そのように、あなたがたも、これらすべてのことを見るとき、それが近いこと、門の所まで来ていることを知りなさい。
34 まことに、あなたがたに言う。これらのことがすべて成就するまで、この世代は過ぎ去ることは決してない。
35 天と地は過ぎ去るであろう。しかしわたしの言葉は決して過ぎ去らない。
36 しかしその日とその時については、誰も知らない。天の天使たちも知らず、わたしの父だけが知っておられる。
37 ノアの時代のようであったように、人の子の来臨もそうである。
38 洪水前の時代、人々は、ノアが箱舟に入った日まで、食べたり飲んだり、娶ったり嫁いだりしていた。
39 洪水が来て、彼らすべてをさらうまで、彼らは知らなかった。人の子の来臨もそうである。
40 そのとき、二人の男が畑にいるであろう。一人は取り去られ、もう一人は残される。
41 二人の女が臼をひいているであろう。一人は取り去られ、もう一人は残される。
42 それゆえ、目を覚ましていなさい。あなたがたのイエシュアがいつ来るか、あなたがたは知らないからである。
43 しかしこれを知りなさい。家の主人が、盗人が夜の何時に来るかを知っていたなら、目を覚まして、自分の家に穴を開けさせなかったであろう。
44 それゆえ、あなたがたも備えをしなさい。あなたがたが思わない時刻に人の子が来るからである。
45 主人がその家の者たちの上に立て、ふさわしい時に食物を与えるようにした、忠実で賢いしもべは誰か。
46 主人が来たとき、そのようにしているのを見られるしもべは祝福される。
47 まことに、あなたがたに言う。主人は彼を自分のすべての持ち物の上に立てよう。
48 しかしその悪いしもべが心の中で『わたしの主人は来るのが遅れている』と言い、
49 仲間のしもべたちを打ち始め、酔った者たちと共に食べたり飲んだりし始めると、
50 そのしもべの主人は、彼が期待しない日に、彼の知らない時刻に来て、
51 彼を切り裂き、偽善者たちと共に受ける分を彼に定める。そこには泣き声と歯ぎしりがあるであろう。
第25章
1 そのとき、天の御国は、灯を持って花婿を迎えに出た十人のおとめにたとえられる。
2 そのうち五人は愚かであり、五人は賢かった。
3 愚かな者たちは灯を持ったが、油を持ってこなかった。
4 しかし賢い者たちは、灯と共に容器に油を持ってきた。
5 花婿が遅れている間に、彼女たちは皆うとうとして眠ってしまった。
6 真夜中になって、『見よ、花婿が来る。彼を迎えに出なさい』という叫びが起こった。
7 そのとき、そのおとめたちは皆起きて、灯を整えた。
8 愚かな者たちは賢い者たちに言った。「あなたがたの油をわたしたちにください。わたしたちの灯が消えかかっています。」
9 しかし賢い者たちは答えて言った。「そうはいきません。わたしたちとあなたがたの両方に足りなくなるといけません。むしろ売る者たちのところに行って、自分のために買いなさい。」
10 彼女たちが買いに行っている間に、花婿が来た。備えのできている者たちは彼と共に婚礼に入り、戸は閉じられた。
11 その後、他のおとめたちも来て言った。「イエシュアよ、イエシュアよ、わたしたちに開けてください。」
12 しかし彼は答えて言った。「まことに、あなたがたに言う。わたしはあなたがたを知らない。」
13 それゆえ、目を覚ましていなさい。人の子が来る日も時も、あなたがたは知らないからである。
14 天の御国は、遠い国へ旅をする人が、自分のしもべたちを呼び、彼らに自分の持ち物を託したようなものである。
15 彼は一人には五タラント、別の者には二タラント、別の者には一タラントを、それぞれの能力に応じて与え、すぐに旅に出た。
16 五タラントを受けた者は行って、それで商売をして、他の五タラントを得た。
17 同様に、二タラントを受けた者も、他の二タラントを得た。
18 しかし一タラントを受けた者は行って地を掘り、主人の金を隠した。
19 長い時が経ってから、それらのしもべたちの主人が来て、彼らと清算をした。
20 五タラントを受けた者は、他の五タラントを持って来て言った。「ご主人様、あなたはわたしに五タラントを託されました。見てください、わたしはそのほかに五タラントを得ました。」
21 主人は彼に言った。「よくやった、良い忠実なしもべよ。あなたはわずかな物に忠実であった。わたしはあなたを多くの物の上に立てよう。あなたの主人の喜びに入りなさい。」
22 二タラントを受けた者も来て言った。「ご主人様、あなたはわたしに二タラントを託されました。見てください、わたしはそのほかに二タラントを得ました。」
23 主人は彼に言った。「よくやった、良い忠実なしもべよ。あなたはわずかな物に忠実であった。わたしはあなたを多くの物の上に立てよう。あなたの主人の喜びに入りなさい。」
24 一タラントを受けた者も来て言った。「ご主人様、わたしはあなたが、蒔かなかった所で刈り取り、散らさなかった所で集める、厳しい方であると知っていました。
25 わたしは恐れて行って、あなたのタラントを地に隠しました。見てください、あなたの物がここにあります。」
26 主人は答えて彼に言った。「悪い、怠惰なしもべよ。あなたは、わたしが蒔かなかった所で刈り取り、散らさなかった所で集めることを知っていたのか。
27 それなら、あなたはわたしの金を両替人のところに預けるべきであった。そうすれば、わたしが来たときに、自分の物を利息と共に受け取っていたであろう。
28 それゆえ、そのタラントを彼から取り上げて、十タラントを持っている者に与えなさい。
29 持っている者は誰でも与えられて豊かになる。しかし持っていない者からは、持っているものまでも取り去られるであろう。
30 この役に立たないしもべを外の闇に投げ出しなさい。そこには泣き声と歯ぎしりがあるであろう。」
31 人の子がその栄光を帯びて、すべての聖なる天使たちと共に来るとき、彼はその栄光の玉座に座すであろう。
32 彼の前にすべての民が集められる。彼は、羊飼いが羊を山羊から分けるように、彼らを互いに分けるであろう。
33 彼は羊を自分の右に、山羊を左に置くであろう。
34 そのとき、王は自分の右にいる者たちに言うであろう。「わたしの父に祝福された者たちよ、来なさい。世の基が置かれたときから、あなたがたのために備えられた御国を受け継ぎなさい。
35 わたしが空腹であったとき、あなたがたはわたしに食べ物を与え、わたしが渇いていたとき、飲み物を与え、わたしが旅人であったとき、わたしを迎え入れたからである。
36 わたしが裸であったとき、あなたがたはわたしに着せ、わたしが病気のとき、わたしを訪れ、わたしが牢にいたとき、わたしのもとに来た。」
37 そのとき、正しい人々は答えて言うであろう。「イエシュアよ、いつ、わたしたちはあなたが空腹なのを見て食べさせ、あるいは渇いているのを見て飲ませたのでしょうか。
38 いつ、あなたが旅人なのを見て迎え入れ、あるいは裸なのを見て着せたのでしょうか。
39 あるいは、いつ、あなたが病気なの、あるいは牢にいるのを見て、あなたのもとに行ったのでしょうか。」
40 王は答えて彼らに言うであろう。「まことに、あなたがたに言う。あなたがたが、わたしの兄弟たちのうち最も小さい者の一人にこれをしたのは、わたしにしたのである。」
41 そのとき、彼は左にいる者たちにも言うであろう。「呪われた者たちよ、わたしから離れて、悪魔とその使いたちのために備えられた永遠の火に入りなさい。
42 わたしが空腹であったとき、あなたがたはわたしに食べ物を与えず、わたしが渇いていたとき、飲み物を与えなかったからである。
43 わたしが旅人であったとき、あなたがたはわたしを迎え入れず、わたしが裸であったとき、わたしに着せず、わたしが病気で牢にいたとき、わたしを訪れなかった。」
44 そのとき、彼らも答えて言うであろう。「イエシュアよ、いつ、わたしたちはあなたが空腹であるか、渇いているか、旅人であるか、裸であるか、病気であるか、牢にいるかを見て、あなたに仕えなかったのでしょうか。」
45 そのとき、彼は答えて彼らに言うであろう。「まことに、あなたがたに言う。あなたがたが、これらの最も小さい者の一人にしなかったのは、わたしにしなかったのである。」
46 彼らは永遠の罰へ、正しい人々は永遠の命へと行くであろう。」
第26章
1 イエシュアがこれらの言葉をすべて言い終えると、弟子たちに言った。
2 「あなたがたが知っているように、二日の後、過越の祭りがあり、人の子は十字架につけられるために裏切られる。」
3 そのとき、祭司長たちと律法学者たちと民の長老たちは、カヤパと呼ばれる大祭司の邸宅に集まった。
4 彼らは、策略によってイエシュアを捕らえて殺そうと相談した。
5 しかし彼らは言った。「祭りの間ではいけない。民の間に騒ぎが起こるかもしれない。」
6 イエシュアがベタニアで、重い皮膚病であったシモンの家にいたとき、
7 非常に高価な香油の入った石膏の壺を持った女が彼のもとに来て、食事の席に着いていた彼の頭にそれを注いだ。
8 弟子たちはこれを見て憤って言った。「何のためにこの無駄遣いをするのか。
9 この香油は高く売れて、貧しい人々に与えることができたのに。」
10 イエシュアはそれを知って、彼らに言った。「なぜこの女を困らせるのか。彼女はわたしに良い行いをしたのである。
11 貧しい人々はいつもあなたがたと共にいる。しかしわたしはいつもいるわけではない。
12 彼女がこの香油をわたしの体に注いだのは、わたしの埋葬のためである。
13 まことに、あなたがたに言う。全世界のどこででも、この福音が宣べ伝えられる所では、この女が行ったことも、彼女の記念として語られるであろう。」
14 そのとき、十二人の一人、イスカリオテのユダと呼ばれる者が祭司長たちのもとへ行き、
15 彼らに言った。「わたしが彼をあなたがたに引き渡せば、あなたがたは何をわたしにくださいますか。」彼らは彼と銀貨三十枚で約束した。
16 そのときから、彼は彼を裏切る機会を探していた。
17 種なしパンの祭りの最初の日に、弟子たちがイエシュアのもとに来て、彼に言った。「あなたが過越を食べるために、わたしたちがどこで準備をすることを望まれますか。」
18 彼は言った。「町へ、ある人のところへ行って、彼に言いなさい。『先生が言われる。わたしの時は近づいた。わたしはあなたの家で、弟子たちと共に過越を守る。』」
19 弟子たちはイエシュアが命じたとおりにし、過越の準備をした。
20 夕方になると、彼は十二人と共に席に着いた。
21 彼らが食事をしていると、彼は言った。「まことに、あなたがたに言う。あなたがたの一人がわたしを裏切るであろう。」
22 彼らはひどく悲しみ、皆が彼に言い始めた。「イエシュアよ、それはわたしでしょうか。」
23 彼は答えて言った。「わたしと一緒に手を鉢に入れる者、その者がわたしを裏切るであろう。
24 人の子は、自分について書かれているとおりに去る。しかし人の子を裏切るその人は災いである。その人は生まれなかった方が彼のためによかったであろう。」
25 彼を裏切ったユダは答えて言った。「先生、それはわたしでしょうか。」彼は彼に言った。「あなたが言ったとおりである。」
26 彼らが食事をしていると、イエシュアはパンを取り、祝福し、それを裂き、弟子たちに与えて言った。「取りなさい。食べなさい。これはわたしの体である。」
27 彼は杯を取り、感謝をささげ、彼らに与えて言った。「皆、この杯から飲みなさい。
28 これは、罪の赦しのために多くの人のために流される、わたしの新しい契約の血である。
29 しかし、あなたがたに言う。わたしは、父の御国であなたがたと共に新しく飲むその日まで、今からこのぶどうの実を決して飲まないであろう。」
30 彼らは賛美を歌って、オリーブ山へ出て行った。
31 そのとき、イエシュアは彼らに言った。「今夜、あなたがたは皆、わたしのゆえにつまずくであろう。『わたしは羊飼いを打つ。すると群れの羊は散らされる』と書かれているからである。
32 しかしわたしはよみがえった後、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう。」
33 ペテロは答えて彼に言った。「皆があなたのゆえにつまずいても、わたしは決してつまずきません。」
34 イエシュアは彼に言った。「まことに、あなたに言う。今夜、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うであろう。」
35 ペテロは彼に言った。「あなたと共に死ななければならないとしても、わたしは決してあなたを知らないとは言いません。」弟子たちも皆、同様に言った。
36 そのとき、イエシュアは彼らと共にゲツセマネと呼ばれる場所に来て、弟子たちに言った。「わたしがあちらへ行って祈っている間、ここに座っていなさい。」
37 彼はペテロとゼベダイの二人の子を連れて行き、悲しみ、ひどく苦しみ始めた。
38 そのとき、彼は彼らに言った。「わたしの魂は死ぬほどにひどく悲しい。ここにとどまって、わたしと共に目を覚ましていなさい。」
39 彼は少し進んで行き、ひれ伏して祈って言った。「わたしの父よ、もしできることでしたら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかしわたしが望むようにではなく、あなたが望まれるようにしてください。」
40 彼は弟子たちのもとに来て、彼らが眠っているのを見て、ペテロに言った。「あなたがたは一時間もわたしと共に目を覚ましていることができなかったのか。
41 誘惑に陥らないように、目を覚まして祈りなさい。霊は望んでいるが、肉は弱いのである。」
42 彼は再び二度目に去って祈って言った。「わたしの父よ、この杯が、わたしが飲まなければわたしから過ぎ去ることができないのでしたら、あなたの御心が行われますように。」
43 彼は来て、再び彼らが眠っているのを見た。彼らの目が重かったからである。
44 彼は彼らを残し、再び去って、三度目に、同じ言葉を言って祈った。
45 そのとき、彼は弟子たちのもとに来て、彼らに言った。「今は眠り、休みなさい。見よ、時は近づき、人の子は罪人たちの手に裏切られる。
46 起きなさい。行こう。見よ、わたしを裏切る者が近づいた。」
47 彼がまだ話しているとき、見よ、十二人の一人ユダが来た。彼と共に、祭司長たちと民の長老たちから遣わされた、剣と棒を持った大群衆がいた。
48 彼を裏切る者は彼らに合図を与えて言っていた。「わたしが口づけする者、その者がその人である。彼をしっかりと捕らえなさい。」
49 彼はすぐにイエシュアのもとに来て、「先生、万歳」と言い、彼に口づけした。
50 イエシュアは彼に言った。「友よ、なぜあなたは来たのか。」そのとき、彼らは来て、イエシュアに手を置いて彼を捕らえた。
51 見よ、イエシュアと共にいた者の一人が手を伸ばし、剣を抜いて、大祭司のしもべを打って、その耳を切り落とした。
52 そのとき、イエシュアは彼に言った。「あなたの剣をその場所に戻しなさい。剣を取る者はすべて剣で滅びるからである。
53 あなたは、わたしが今、わたしの父に祈ることができず、父がわたしに十二軍団以上の天使たちをすぐに送ってくださらないと思うのか。
54 しかし、それでは、このようにしなければならないと書かれている聖書がどうして成就するであろうか。」
55 その同じ時刻に、イエシュアは群衆に言った。「あなたがたは、盗人に対するように、剣と棒を持ってわたしを捕らえに出て来たのか。わたしは毎日あなたがたと神殿に座って教えていたが、あなたがたはわたしを捕らえなかった。
56 しかしこれらすべてのことが起こったのは、預言者たちの聖書が成就するためである。」そのとき、弟子たちは皆、彼を見捨てて逃げた。
57 イエシュアを捕らえた者たちは、彼を大祭司カヤパのもとへ連れて行った。そこには律法学者たちと長老たちが集まっていた。
58 ペテロは遠くから彼の後を追って、大祭司の邸宅まで行き、中に入って、下役たちと共に座し、結末を見ようとした。
59 祭司長たちと長老たちと最高法院の全員は、彼を死に至らせるため、イエシュアに対する偽証を探した。
60 しかし見つけなかった。多くの偽証人が来たが、見つけなかった。最後に二人の偽証人が来て、
61 言った。「この男は言った。『わたしはヤハウェの神殿を壊し、三日のうちにそれを建てることができる。』」
62 大祭司は立ち上がって彼に言った。「あなたは何も答えないのか。これらの者があなたに対して証言していることは何なのか。」
63 しかしイエシュアは黙っていた。大祭司は答えて彼に言った。「あなたがヤハウェの子、メシアであるかどうかをわたしたちに告げるように、生けるヤハウェによって、あなたに命じる。」
64 イエシュアは彼に言った。「あなたが言ったとおりである。しかし、あなたがたに言う。今から、あなたがたは、人の子が力の右に座し、天の雲に乗って来るのを見るであろう。」
65 そのとき、大祭司は自分の衣服を裂いて言った。「彼は冒涜を口にした。わたしたちがこれ以上、証人を必要とするだろうか。見よ、今、あなたがたは彼の冒涜を聞いた。
66 あなたがたはどう思うか。」彼らは答えて言った。「彼は死に値する。」
67 そのとき、彼らは彼の顔に唾を吐きかけ、彼を拳で打った。他の者たちは手のひらで彼を打って、
68 言った。「メシアよ、わたしたちに預言しなさい。あなたを打ったのは誰か。」
69 ペテロは邸宅の外に座っていた。一人の女中が彼のもとに来て言った。「あなたもガリラヤのイエシュアと共にいました。」
70 彼は皆の前でそれを否定して言った。「あなたの言っていることが、わたしには分かりません。」
71 彼が玄関に出て行くと、別の女中が彼を見て、そこにいた者たちに言った。「この男もナザレのイエシュアと共にいました。」
72 彼は再び、誓って否定した。「わたしはその人を知りません。」
73 しばらくして、居合わせた者たちが彼のもとに来てペテロに言った。「確かにあなたも彼らの仲間である。あなたの話し方でも分かる。」
74 そのとき、彼は呪い、誓い始めて言った。「わたしはその人を知りません。」するとすぐに鶏が鳴いた。
75 ペテロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うであろう」と彼に言ったイエシュアの言葉を思い出した。彼は外に出て、激しく泣いた。
第27章
1 朝になると、祭司長たちと民の長老たちは皆、彼を死に至らせるため、イエシュアに対して相談した。
2 彼らは彼を縛って連れて行き、総督ポンテオ・ピラトに引き渡した。
3 そのとき、彼を裏切ったユダは、彼が有罪とされたのを見て、後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちと長老たちに返して、
4 言った。「わたしは罪のない血を裏切って罪を犯しました。」彼らは言った。「それはわたしたちに何の関係があるのか。あなた自身が対処しなさい。」
5 彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、行って首を吊った。
6 祭司長たちは銀貨を取り、言った。「これを金庫に入れることは律法に反する。それは血の代価だからである。」
7 彼らは相談し、それで陶器師の畑を買い、よそ者たちを葬る場所とした。
8 それゆえ、その畑は今日まで「血の畑」と呼ばれている。
9 そのとき、預言者エレミヤによって語られたことが成就した。こう言われていた。「彼らは、イスラエルの子らが値をつけた、その値をつけられた者の代価である銀貨三十枚を取り、
10 ヤハウェがわたしに命じたとおり、それを陶器師の畑のために与えた。」
11 イエシュアは総督の前に立った。総督は彼に尋ねて言った。「あなたはユダヤ人の王か。」イエシュアは彼に言った。「あなたが言うとおりである。」
12 彼は祭司長たちと長老たちに訴えられたとき、何も答えなかった。
13 そのとき、ピラトは彼に言った。「彼らがあなたに対して証言している多くのことを、あなたは聞かないのか。」
14 彼は一言も彼に答えなかった。そのため総督は非常に驚いた。
15 その祭りのとき、総督は、民が望む一人の囚人を民に釈放する慣習であった。
16 そのとき、彼らにはバラバと呼ばれる名高い囚人がいた。
17 それゆえ、彼らが集まったとき、ピラトは彼らに言った。「あなたがたのために、だれを釈放してほしいのか。バラバか、それともメシアと呼ばれるイエシュアか。」
18 彼は、彼らがねたみのために彼を引き渡したことを知っていたからである。
19 彼が裁判の席に着いていたとき、その妻が彼のもとに人をつかわして言った。「あの正しい人と関わりを持ってはなりません。わたしは今日、彼のために夢で多くの苦しみを受けました。」
20 しかし、祭司長たちと長老たちは、バラバを願い、イエシュアを滅ぼすように群衆を説得した。
21 総督は答えて彼らに言った。「二人のうち、どちらの者をあなたがたのために釈放してほしいのか。」彼らは言った。「バラバである。」
22 ピラトは彼らに言った。「では、メシアと呼ばれるイエシュアを、私はどうしたらよいのか。」彼らは皆、彼に言った。「十字架につけよ。」
23 総督は言った。「いったい、彼はどんな悪事をしたというのか。」しかし彼らは、ますます叫んで言った。「十字架につけよ。」
24 ピラトは、自分にはどうすることもできず、かえって騒ぎが起ころうとしているのを見て、水を取り、群衆の前で手を洗って言った。「この正しい人の血について、私には責任がない。あなたがたで引き受けなさい。」
25 すると民全体が答えて言った。「その人の血は、われわれとわれわれの子らの上にかかれ。」
26 それから彼は、彼らにバラバを釈放し、イエシュアをむち打ってから、十字架につけるために引き渡した。
27 それから総督の兵士たちは、イエシュアを官邸の中に連れて行き、彼のところに部隊全体を集めた。
28 そして彼らは彼の服を脱がせ、緋色の上着を着せた。
29 そして、いばらの冠を編んで彼の頭に置き、葦を彼の右手に持たせ、彼の前にひざまずいて、あざけって言った。「ユダヤ人の王、万歳。」
30 そして彼に唾をかけ、葦を取り上げて彼の頭をたたいた。
31 彼をあざけった後、彼らは上着を脱がせ、彼自身の服を着せ、十字架につけるために連れて行った。
32 彼らが出て行くと、キレネ人シモンという名の人に出会った。彼らは、この人に彼の十字架を負わせることを強制した。
33 そして、ゴルゴタと呼ばれる場所、すなわち、されこうべの場所に来ると、
34 彼らは、胆汁を混ぜた酢を彼に飲ませようとした。彼はそれを味わったが、飲もうとはしなかった。
35 そして彼らは彼を十字架につけ、くじを引いて彼の衣服を分け合った。これは、預言者によって語られたことが成就するためであった。「彼らはわたしの衣服を互いに分け合い、わたしの衣のことでくじを引いた。」
36 そして、そこに座って彼の番をした。
37 そして、彼の頭の上に、彼の告訴状を掲げた。「これはユダヤ人の王イエシュアである」
38 そのとき、二人の強盗が彼と共に十字架につけられた。一人は右に、もう一人は左にである。
39 通り過ぎる人々は、頭を振りながら彼をののしり、
40 言った。「神殿を壊し、三日で建てる者よ、自分を救え。あなたがヤハウェの子であるなら、十字架から降りて来い。」
41 同じように、祭司長たちも律法学者たちや長老たちと共に、彼をあざけって言った。
42 「彼は他人を救ったが、自分を救うことはできない。彼がイスラエルの王であるなら、今、十字架から降りて来るがよい。そうすれば、われわれは彼を信じよう。」
43 「彼はヤハウェに信頼した。望むなら、今、救い出してもらうがよい。彼は『私はヤハウェの子である』と言ったからである。」
44 共に十字架につけられた強盗たちも、同じことで彼をののしった。
45 さて、第六時から第九時まで、全地は暗くなった。
46 第九時ごろ、イエシュアは大声で叫んで言った。「Eli, Eli, lama sabachthani」すなわち、「わがヤハウェ、わがヤハウェ、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
47 そこに立っていた人々のうちのある者たちは、これを聞いて言った。「この人はエリヤを呼んでいる。」
48 すると、彼らのうちの一人が、すぐに走って行き、海綿を取って酢を含ませ、葦の先につけて彼に飲ませようとした。
49 ほかの者たちは言った。「そのままにしておけ。エリヤが彼を救いに来るかどうか、見てみよう。」
50 イエシュアは、再び大声で叫んで息を引き取った。
51 すると見よ、神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂けた。そして地が揺れ動き、岩々が裂けた。
52 そして墓が開かれ、眠っていた多くの聖徒たちの体がよみがえり、
53 彼の復活の後、墓から出て来て、聖なる都に入り、多くの人々に現れた。
54 百人隊長と、彼と共にイエシュアの番をしていた者たちは、地震と起こった出来事を見て、非常に恐れて言った。「本当に、この方はヤハウェの子であった。」
55 そこには、遠くから眺めている多くの女たちがいた。彼女たちはガリラヤからイエシュアに従って来て、彼に仕えていた者たちであった。
56 その中には、マグダラのマリア、ヤコブとヨセの母マリア、ゼベダイの子らの母がいた。
57 夕方になると、アリマタヤ出身のヨセフという名の金持ちの人が来た。彼自身もイエシュアの弟子であった。
58 彼はピラトのところに行き、イエシュアの体を請い求めた。するとピラトは、その体を引き渡すように命じた。
59 ヨセフはその体を受け取ると、清い亜麻布で包み、
60 岩に掘っておいた自分自身の新しい墓に納めた。そして、墓の入口に大きな石を転がして去った。
61 そこには、マグダラのマリアともう一人のマリアが、墓の向かいに座っていた。
62 翌日、すなわち準備の日に続く日、祭司長たちとパリサイ人たちは、共にピラトのところに来て、
63 言った。「閣下、あの惑わす者は、まだ生きていたときに『三日の後、私はよみがえる』と言ったことを、われわれは思い出しました。」
64 「ですから、第三日まで墓の警備を厳重にするよう命じてください。そうでなければ、彼の弟子たちが夜に来て彼を盗み出し、民に『彼は死人の中からよみがえった』と言うかもしれません。そうなると、最後の欺きは最初のものより悪くなります。」
65 ピラトは彼らに言った。「あなたがたには番兵がいる。行きなさい。できるかぎり厳重に警備しなさい。」
66 それで彼らは行き、石に封印し、番兵を置いて墓の警備を厳重にした。
第28章
1 安息日の終わりに、週の初めの日に向けて夜が明け始めた頃、マグダラのマリアともう一人のマリアが墓を見に来た。
2 すると見よ、大きな地震が起こった。ヤハウェの使いが天から降りて来て、石を墓の入口から転がし、その上に座ったからである。
3 その姿は稲妻のようであり、その衣は雪のように白かった。
4 番兵たちは、彼への恐れのために震え、死人のようになった。
5 使いは女たちに答えて言った。「恐れるな。あなたがたが、十字架につけられたイエシュアを捜していることは分かっている。
6 「彼はここにはおられない。言われたとおり、よみがえられたのである。来て、イエシュアが横たわっていた場所を見なさい。」
7 「そして、急いで行って、彼の弟子たちに告げなさい。『彼は死人の中からよみがえり、見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこで彼にお会いするであろう。』見よ、私はあなたがたに告げた。」
8 彼女たちは、恐れと大きな喜びをもって、急いで墓を離れ、弟子たちに知らせを伝えようと走った。
9 弟子たちに告げようと行く途中、見よ、イエシュアが彼女たちに出会って言った。「喜びなさい。」彼女たちは近寄り、彼の足をつかんで彼を拝した。
10 そのときイエシュアは彼女たちに言った。「恐れるな。行って、私の兄弟たちに、ガリラヤへ行くように告げなさい。そこで彼らは私に会うであろう。」
11 さて、彼女たちが行く途中、見よ、番兵のある者たちが都に来て、起こったすべてのことを祭司長たちに知らせた。
12 祭司長たちが長老たちと集まり、相談した後、兵士たちに多額の銀を与え、
13 言った。「『彼の弟子たちが夜に来て、われわれが眠っている間に彼を盗み出した』と言いなさい。」
14 「もしこのことが総督の耳に入っても、われわれが総督を説得して、あなたがたに心配をかけないようにしよう。」
15 それで彼らは銀を受け取り、教えられたとおりにした。そしてこの言い伝えは、今日に至るまでユダヤ人の間に広く語られてきた。
16 それから、十一人の弟子たちはガリラヤへ行き、イエシュアが指示された山に登った。
17 彼らは彼を見て拝したが、疑う者たちもいた。
18 イエシュアは近寄って来て、彼らに語って言った。「天においても地においても、すべての権威が私に与えられている。
19 「それゆえ、行って、すべての国々の人々を弟子とし、父と子と聖霊の名によって彼らに洗礼を授け、
20 私があなたがたに命じたすべてのことを守るように教えなさい。そして見よ、私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。アーメン。